関西大学2年生
柳生朱璃
東大阪市長
野田 義和
学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。
今回は、東大阪市長 野田 義和様に、お話を伺いました。
早期化する就職活動を見据えHRsessionインターンに参加。趣味は音楽で、5歳からピアノを習っている。
京都府京都市生まれ。東大阪市立上小阪小学校、東大阪市立上小阪中学校、大阪府立花園高等学校卒業。中山太郎参議院議員の秘書を経て、1987年(昭和62年)10月から東大阪市議会議員を5期務める。
目次
柳生
柳生朱璃と申します。大学では経済の勉強をしております。先日は成人式の際に東大阪市役所に立ち寄らせていただきました。市政だよりでしか見たことない市長とお話させていただけるということで、すごく緊張しているんですけれども、嬉しいです。
野田
光栄です。
柳生
市長のご経歴からおうかがいしてよろしいでしょうか。
野田
1957年2月1日に生まれました。ちなみ、10年後の同じ日に、当時の枚岡市・河内市・布施市が合併して東大阪市ができていますので、東大阪市と誕生日が一緒なんです。いつもこれを言っても、私には誰も誕生日のプレゼントをくれませんが...(笑)。
柳生
そうなんですね。ご縁がありますね。
野田
はい。東大阪市立の小、中学校を経て、花園高校を卒業しました。その後いろいろあり、大学進学をあきらめて、政治の道に入りました。昭和62年9月の東大阪市会議員選挙に立候補し、それ以降5期、20年市会議員を務めました。平成19年10月に行われた東大阪市長選挙に立候補して、現在市長としては5期目の17年目を迎えています。
柳生
学生時代はどんな方でいらっしゃったのでしょうか。
野田
一番強い思い出は、高校2年生の時に制服の自由化に取り組んだことです。制服を廃止する運動が広まって、制服問題を考える委員会が立ち上がったんですね。その委員にクラス代表で選ばれて、当時1学年10クラスでしたので、30人のメンバーが集まりました。
柳生
とても多いですね。
野田
そうなんです。誰が委員長をするかという話し合いになったときに、誰もやりそうになかったので手を挙げました。アンケートの結果、最終的に2/3の学生が制服の自由化に賛成をしました。校長先生方と話し、職員会議が行われて、制服自由化が決まりました。責任者として取り組んだ一番強い思い出です。
柳生
花園高校は今も私服でしたでしょうか。
野田
今は制服が標準服で、行事ごとがあるときに私服で行ったりしていますよね。
柳生
そのころからの変化で、花園高校はとても自由な校風の印象です。周りも行っている子が多くて、倍率も高かったです。
野田
はい。大胆な改革だったと思います。
心が震える出会い
柳生
政治の道に入られたきっかけをうかがってもよろしいでしょうか。
野田
新自由クラブという当時の新しい政党で代表をされていた河野洋平さん(河野太郎デジタル担当大臣のお父様)の演説を聞いて、感銘を受けたのがきっかけでした。そこから政治に大変関心を持って入り込んできました。
柳生
その演説が結構ターニングポイントだったんですね。
野田
そうですね。命を、魂の叫びというくらい、ものすごく印象が強くて、なぜここまで熱く人に訴えることができるんだろう、何をこの人は思っているんだろうと強く思いました。必死になって手紙を書いて、繋がりができて、政治を手伝えませんかというところで少しづついろんな縁が繋がりました。
柳生
すごい行動力ですね。約30年、東大阪の行政にかかわられていますが、市長が考える東大阪の魅力をお伺いしたいです。
野田
東大阪市は、飛行場と海・港がないまちです。言い換えれば飛行場と海・港以外は全てあるまちです。例えると、ちゃんこ鍋のようなまちです。鍋の中にたくさん、いろんな具材が入っていて、すごく美味しいし、栄養があるんですよ。そういうまちかなと思っています。
柳生
すごく納得のいく表現でした。私の両親もずっと東大阪市で、祖母も住んでいます。東大阪市からこれからも出る予定はなく、便利なまちだなと感じてます。これからの東大阪の未来像をどのようにおかんがえでしょうか。
野田
東大阪はモノづくりのまちです。それも大きな企業ではなくて、中小企業の集積地。中小企業が作る部品は、完成品を作るには必要不可欠で、大変高い技術力を持った町工場がたくさんあります。東大阪なしにして日本のモノづくりは成り立たない。日本の製造業は東大阪が支えている、という現実があります。
柳生
そうですね。
野田
道路交通の観点から申しても東大阪は要所です。阪神高速、近畿道、第二阪奈道路、第二京阪など、東大阪からなら1時間あれば関西の主要都市・主要施設にいけます。このロケーションだからこそ、ヒト、モノ、カネ、情報が集まる要素のあるまちだと思っています。このポテンシャルをいかに発展につなげてくか。可能性がたくさんあるまちだと思っています。
柳生
普段使っているので気づきませんでしたが、確かに和歌山も京都も行きやすいですね。
行動こそが未来を変える
柳生
市長は公務を行う上でどのようなことを1番大切にしていらっしゃいますか。
野田
公務で大切にしていることは、常に未来を見ていくことです。現状維持ではなく、ですよね。未来を見ると、当然失敗も出てくるし、未知の課題がいろいろ出てきます。また、東大阪だけを視野に入れるのではなく、360度視野を広げて、未来を見ていく。そういうことを基本として公務を行うようにしています。
柳生
ありがとうございます。私たち若者も頑張って東大阪を盛り上げていけたらと思っています。
市長として取り組むということは、大変だったのでしょうか。
野田
そうですね。最後は自分が決断・判断しなければならないというところですね。その責任感の重さ・怖さというものはあります。もしかすると、もっと良い判断があるのではないか、もっといい考え方・判断がないのか。そこを考えるのは大変だと思います。
柳生
たしかにそれは、トップに立つ人しかわからない大変さだと感じました。
今後の社会人、これから社会人になる若者に向けて、東大阪市が求める公務員像があればお伺いしたいです。
野田
「返事!あいさつ!声!ダッシュ!!」。小学校や中学校でよく使われている言葉ですが、これは本当に大事です。もう1つは、また、否定理論から入らないこと。できない理由を探さないことです。前例がなかったら自分が前例になればいいし、コロンブスの卵みたいにポーンと割って立てればいい。予算がなければ予算を作る努力をすればいい。これは職員にも言っているし、民間企業を目指す場合でも大事だと思います。
柳生
懐かしいです。私も、中学校の頃に毎日言われていました。それを、7年越しに市長からうかがうことができて嬉しいです。小学校・中学校の時に東大阪市で教えてもらっていたことが今も活きていますし、やっぱり大事だったなと改めて感じました。これは素朴な疑問になりますが、市長から、東大阪の学生はどんな風に見えていますでしょうか。
野田
そうですね。東大阪には大学が4校あります。みなさん一生懸命、学生生活を頑張って楽しんでいると思います。ボランティア活動やイベントで学生にお手伝いいただく場面で学生と会う機会があるのですが、みんな本当に明るく、元気に頑張ってくれるなと思っています。学生生活を楽しみながら、勉強と社会活動とアルバイトをうまくやっているんだと思います。
柳生
どんな若者に東大阪市を背負ってほしいとお考えでしょうか。
野田
さきほども申しましたが、未来を向ける若者です。正直、全てを市がまかなえるわけではなく、選択と集中をしながら課題に取り組んでいます。そんなとき、自分たちだったら何ができるかを考えられる若者に背負ってほしいです。なにかの縁があって東大阪で働いている方であれば、このまちをよりよく、より面白く、よりキレイに、本当に少しでもいいのでできることを考えてほしい。行動に移してくれる若い人たちに期待していますね。
柳生
ありがとうございます。がんばります。
対話こそ最大の刺激
柳生
市のサイトより拝見したのが、「一度、東大阪を出て、再びUターンされた方が多い」というデータがありました。東大阪に戻ってこられる理由について、市長はどのようにお考えですか。
野田
昔からある場所をしっかり保ちながら、よりよく変わってきているところではないでしょうか。あとは、やはり住みやすさですね。今東大阪市に駅は26あって、モノレールの工事事業が進んでいます。これが完成すると、駅は30になります。同時に、行政サービスの面でずっとレベルアップしています。そんな要素も、東大阪に戻りたいと思われる理由になっていると思います。
柳生
たしかにまちの雰囲気は変わらないからこそ、私も難波に行くのも楽しいんですけど帰ってきたら安心感があるっていうのはそういうことなのかなって思いました。ありがとうございます。
野田
これからもさらにレベルアップして、住みやすいまちづくりをしていきたいですね。
柳生
ありがとうございます。市の採用サイトより「市民の方からお褒めの言葉をいただいたときに喜びを感じます」と書かれておりました。市長が実際に市民と触れ合ってうれしかったご経験をお伺いしたいです。
野田
よくウォーキングしている時にお声をかけていただいたりするんです。「以前はこうだったけど今はこんな風になりましたね」って言っていただいたり。「市もいろいろと頑張ってくれていますね」って、そんなひとつひとつが大変うれしいなと思っています。
もっと住民サービスの内容をレベルアップ向上しなければならないなという風に、まさにいい意味で𠮟咤激励を受けております。
柳生
それは、うれしいですよね。
野田
やっぱり、いい話もちょっと耳の痛い話も、直接聞けるっていうことはある意味で全てが楽しさに繋がりますね。
まちづくりは誰でも参加できる
柳生
地域に貢献する。という意味で、私たちにもできそうなことがありそうですね。
野田
そうですよ。たくさんあると思います。このまちが好きだからやってみよう。という思いを行動に移せるかどうかがとても大切なんです。
柳生
はい。そう思います。
野田
例えば、東京都の武蔵野市では、コミュニティセンターは運営を武蔵野市民で行われているんです。
その運営ノウハウを学び、同じような運営方法を東大阪市の公民分館にも導入しました。
当時、武蔵野市に訪問した際にびっくりしたのが、活動している委員会の委員長さんは、武蔵野市民ではなくお隣の三鷹市民で。「いいんですか?」とうかがうと、活動の母体委員会は、「いやもう、私たちとまちづくり活動をしていただけるなら誰でもいいんです、住んでるところは関係ないんです!」っておっしゃるんです。本当に一生懸命みなさんでワイワイガヤガヤしながら、まちづくり活動やっていらっしゃるんです。
柳生
すごいですね。
野田
そうなんです。ですから学生のみなさんも、ぜひともそこに飛び込んでほしい。新しく作らないといけないわけではなく、既存の活動に参加するところからでもいい、若さは特権なんで、「私もやりたいよ・私にやらせてください」、そういうように、能動的な姿勢でまちづくり活動や地域づくり活動、参加していただきたいですね。
直接、人に向き合う仕事
柳生
自治体で働く面白さについてお伺いできますでしょうか。
野田
やっぱり住民のみなさまと向き合って仕事ができる。ということでしょうね。ぜひ、そんな働き方を目指していただきたいとも思っています。もちろん、直接人と向き合う仕事になりますからしんどいこともあると思いますが、お褒めをいただくことも直接届きます。そのひとつひとつはやりがいに変わると思うんですよね。国家公務員や警察官、自衛隊、税務署員など専門職ももちろん大切な職務としてありますが、誰と向き合って仕事をしているかわからないこともあると思います。
柳生
東大阪市で働くとするならばいかがでしょうか。
野田
東大阪というまちは、冒頭にも申しましたが、海と飛行場以外は全てあります。そしてロケーションがよい。東大阪の立ち位置でいうと、他の自治体と協動していくことが得意なまちなんです。
柳生
もう少し、くわしくうかがえますか。
野田
はい。例えば、先日の能登半島地震。今もみなさん大変なご状況ですよね。たくさんのボランティアも支援に向かっています。ところがボランティアに参加した方々が宿泊する場所がないんです。そこでテント村の運営を私たちのほか、5つのまちと共同で運営することにしました。岡山県総社市、岡山県赤磐市、富山県南砺市、神奈川県海老名市、そして神奈川県鎌倉市です。全然、繋がりがないようなまち同士が連携して取り組む。こういったことが行えるんです。
柳生
なんかすごいですね。
野田
地域に根ざした取り組みをすると多くの問題に気づけます。問題はたくさんあります。しかし、問題は可能性である。とも言えるわけです。私は、問題がたくさんあることは伸びしろだととらえています。さきほどもお話ししましたが、連携をしたり考えたり一緒に行動したりっていうことを普通にやれる。取り組んでいただいたらいいんですよね。その可能性に向かって、新しいことにいろいろチャレンジもしやすいのが東大阪市だと考えています。
柳生
ありがとうございます。私自身まだどのような仕事に就くかも全く考えてないんでこれからよく考えさせていただきます。
野田
ぜひお考え下さい。そして東大阪市で働かれることをお待ちしています。
リアルに勝る経験はない
柳生
最後になりますが、これから社会人になる若者に向けて、メッセージをいただけませんでしょうか。
野田
はい。ありがとうございます。できるだけ視野を広く、いろいろな人と出会ったり、本を読んだりし、自分自身で情報を取りに行っていただきたいですね。インターネットやオンラインという便利な環境はありますが時間の許す限りリアルな場に取りに行く。そして同時にそこにいる人となにか繋がりをつくることを惜しまずやっていただきたいですね。
柳生
ありがとうございました。まさか、私自身が市長とお話しする機会なんて、普通に生活していたらまずないことだと思っています。すごく嬉しかったのと、突然のご連絡にも拘わらず、ご対応くださった東大阪市役所のご担当者様にも感謝いたしております。
野田
いえいえ、そういう、行動や発想が大事だと思います。私も、この道のスタートは、河野太郎デジタル大臣のお父様の演説にまさに感銘を受けて手紙書いて、河野洋平さんご本人がお返事をくださったかどうかわからないですけど、とにかくその思いを大切にしてなにか一緒に行動しましょうよというお声がけをいただいたところから政治家としての道がスタートしていますし。行動することってすごく大事だと思います。
柳生
はい。改めて本日はありがとうございました。
野田
こちらこそありがとうございました。
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