関西大学4年生
仁里美沙希
株式会社オアシス・イラボレーション
川渕 誉雄
学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。
今回は、株式会社オアシス・イラボレーション 代表取締役社長兼CEO 川渕 誉雄様に、お話を伺いました。
関西大学経済学部。2024年4月より株式会社クイックに就業予定。特技は書道。趣味は海外旅行と居酒屋開拓。サントリーニ島でエーゲ海を眺めながら朝食を食べるのが夢。
1982年、高知県出身。2019年、早稲田大学 人間科学部人間情報科学科卒業。2022年、早稲田大学大学院 経営管理研究科修了(MBA)。10代の頃は勉強にも家業にも興味を持てなかったものの、思いがけず23歳でファミリービジネスを継承。事業継続困難、また資金繰りも厳しい経営を、社員一丸となって安定化させ、ビジネスモデルと組織の両輪を整えることで、業績を右肩上がりにする。10年後には1,000億の売上げを目指す。
目次
起業への志、MBA取得から切り拓く
仁里
川渕様が経営者になることについて、学生時代に意識されていたことや覚悟などはありましたか。
川渕
実は、全く意識してこなかったんです。
仁里
そうなんですね。
川渕
はい。ファミリービジネスの3代目ということで、父や祖父が社長をやっている認識はありました。
しかし、具体的にどういう仕事をやっているかは10代のころは全く知らず、正直関心もなかったです。
ただ、いつか自分もそういう立場にいるんだろうな。とは思っていました。
仁里
大学院に進学なさったこととはつながりがあるのでしょうか。
川渕
そうですね。20代半ばで高知の地方にいた頃に、上場という言葉を覚え、いつか上場させたいという思いが生まれました。 しかし、周りにそういう話を聞ける経営者の先輩や同年代が少なかったんです。
仁里
なるほど、情報収集がしにくかったんですね。
川渕
そうなんです。自ら勉強したいと思い、経営系のコースということもあり、上場に関してなど経営のアドバイスを受けられる環境のある大学院に進学を決めました。
仁里
MBA取得も繋がりがありそうですね。
川渕
まさにそうですね。MBA取得は上場、経営の勉強のためです。
仁里
なるほど。上場させたいという強い思いが根本にあったのですね。
30歳がターニングポイント
仁里
組織の活性化における人材採用についてお聞きしたいです。
企業家精神といったような、そういう視座を持った集団の育成にはどのような思いがあるのでしょうか。
川渕
当社では昨今、インターンシップを経て入社をしていただく方を迎えることが多くなってきました。
そこで出会う方々は起業などの目標をしっかり持っているという共通点があります。30歳というのがひとつのターニングポイントになっていると思っています。
仁里
30歳がターニングポイントなのですか。
川渕
そうですね。社会のことを理解できる年齢で、業務を覚えつつ言葉も分かってきて、体力的にも充実してる上に考え方も構築されている時期です。
仁里
川渕様自身も30歳がターニングポイントになったのでしょうか。
川渕
はい。ちょうどいいタイミングでした。20歳、30歳、40歳で気持ちも変わってきました、特にこの頃足りないと感じたのが、経営の経験です。
仁里
なぜ経営の経験が足りないとお感じになられたのでしょうか。
川渕
日本の場合、倒産など大きな失敗を1回するとダメージを受けて、敗者復活するような機会がなかなかありません。アメリカの場合、チャプターイレブン(Chapter11)などの文化があります。日本の民事再生法に似ているのですが、アメリカの場合は旧経営陣が引き続き経営しながら負債の削減など企業再建にチャレンジしていけるんですよね。
仁里
たしかに日本の民事再生法のイメージは金融機関やベンチャーキャピタルが経営権を巻き取るイメージが強いですね。
企業家育成へのこだわりと根本にある思い
仁里
今の日本の商慣習の中で、川渕様はどのように企業家を育成していきたいと思われてますでしょうか。
川渕
転ばぬ先の杖といったように、経営する上で大事な部分を共有していきたいですね。 一番は資金面だと考えています。我々も2年後に向けて上場準備中なんですが、上場した暁にはしっかり若手の企業家育成を支援したいし、輩出したいと考えています。
仁里
なるほど。 若い企業家をお金の面でサポートしていくのですね。
川渕
はい。私自身事業が苦しい時に引き継いで、8年くらいは苦労しました。企業家を目指す若手に対して資金面を苦にすることなく事業を考えていけるように、ある程度資本協力をして応援していきたいと思っていますし、制度化しようとしています。
仁里
自らが苦労した同じ思いをさせずに挑戦をしてもらう、そんなスタンスに熱いものを感じました。
二の轍は踏ませない
仁里
企業家育成という観点で採用活動をなさっているということは、独立後の支援などもお考えなのでしょうか。
川渕
もちろんです。たとえば、上場するレベルの会社を作るためにはやっぱりビジネスモデルと組織がしっかりしてないと持続的な成長が難しいわけです。私たちが上場に向けて経験したことを、二の轍は踏まずにすむような経営者になってもらいたいですね。
仁里
大家族主義という文化を感じさせていただくお話です。
川渕
そうですね。社長っていうのはある意味父親ようなものかもしれません。
仁里
温かさを感じます。
川渕
企業文化というのは、会社の土壌だと思っていて、その土壌の良し悪しで働く人の質や離職率も決まってくると思っていますし、なるべく良い土壌を作ることが経営者や経営陣の役割だと思います。
仁里
なるほど。よい土壌をつくるために、経営陣に求めるリーダーシップやビジョンは何なのでしょうか。
川渕
リーダーシップの面では、有言実行の姿勢を見せるということですね。 今までなかったようなものをつくりあげたり、浸透させたり、あらゆる面でものごとの変革を起こす際にリーダーシップというのは必要となります。 また、リーダーシップというのは役職を持たない立場でも持ち合わせることができるので、主体性がリーダーシップには必要ですね。
仁里
主体性ですね。ありがとうございます。ビジョンの面ではどうお考えでしょうか。
川渕
専門性を深め、お客様が求めたものをしっかり提供できるよう価値を明らかにすることですね。上場後は新規の事業とかM&A戦略でコングロマリットを形成していきたいです。
決めたことを、とことんやりぬく
仁里
川渕様が考える起業する経験の価値についてお伺いしたいです。
川渕
対外ネットワークが得られる。これは大きいですね。多くの経営者から常に学び続けられる環境が生まれます。そして、なにより圧倒的な責任が必要になります。もちろん裁量権も絶大ですが、良くも悪くも自分の決めたことが如実に反映されます。
仁里
いろんな選択肢がある中で、起業を選択した人たち、未来の起業家に向けて伝えたいことはありますか。
川渕
経営者になると年齢は関係なく、すべてが自己責任になります。要は結果が常に直接跳ね返ってきます。やるかやらないかを自分自身で決めて、やると決めたらとことんやってほしいですね。
仁里
ありがとうございます。 今回の対談で、固定概念にとらわれずに果敢に挑戦する重要性を学ばせていただきました。
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