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地域に価値提供し続けるケーブルテレビの形とは

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地域に価値提供し続けるケーブルテレビの形とは

立命館大学3年生

大崎 有輝

株式会社CAC

金澤 茂明

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社CAC代表取締役社長 金澤 茂明様に、お話を伺いました。

立命館大学3年生
大崎 有輝

小学2年生から高校まで11年間サッカーを続けたのち、現在は大学のよさこいサークルに所属している。 ビジネスパーソンの価値観や判断基準を身近に感じられる機会に魅力を感じ、インターンシップに参加。 趣味は読書や料理など。

株式会社CAC
金澤 茂明

1975年生まれ。マスプロ電工株式会社を経て、2001年に株式会社CAC(当時シーエーテイーブイ愛知株式会社)に入社しひまわりネットワーク株式会社へ出向。2004年に株式会社CAC(当時シーエーテイーブイ愛知株式会社)に帰任し、2013年に株式会社CAC 代表取締役社長に就任。ケーブルマン・オブ・ザ・イヤー2022を受賞。

目次

 

大崎
よろしくお願いいたします。ではまず、金澤社長のご経歴についてうかがわせてください。


金澤
1996年にテレビの受信メーカーであるマスプロ電工に入社後、2001年にシーエーテイーブイ愛知株式会社(現在の株式会社CAC)に入社をいたしました。同県にあります、ひまわりネットワークという同じケーブル会社なのですがこちらに出向いたしまして、2004年の1月にシーエーテイーブイ愛知株式会社(現在の株式会社CAC)に帰任いたしました。


大崎
様々な職業というか、業務に関わっていらっしゃるのですね。転職なさったという解釈でよろしいですか。


金澤
元々CACに入社する予定はあったのですが、まずは技術からという所でマスプロ電工に入っております。その後ひまわりネットワークの方に出向して、通常の営業と制作に携わってきているという状況です。


大崎
技術職から、営業系といった流れなのですね。


地域なくしては存在しえない 

大崎
ホームページを拝見し、地域愛というのをすごく大切にしていると感じたのですが、金澤社長が地域愛を大切にされている理由をお聞かせいただいてもよろしいですか。


金澤
まず、会社の設立のきっかけというところからいきますと、地域にある青年会議所という団体で知り合ったメンバーと、会社が作られたという経緯があります。


大崎
どういった目的で集まられたのですか。


金澤
この地域の中で、一つ大きなお祭りをやろうというのが一つの設立のきっかけにはなっておりまして、非常に地域の方々に育てられた会社であると思っております。


大崎
そうだったのですね。


金澤
また、取り扱っている内容も地域の情報をお伝えすることですので、地域なくして我々の会社というのは存在しないと思っております。そこから地域のことをよく知ろう、地域の方々に良いものをお届けしようというところが根本にありますので、地域愛になるのかなと思っております。


立場を活かした地域貢献とは 

大崎
放送事業について、地域の役に立つ情報を発信されることを大切にされていると思うのですが、具体的な取り組みとしてされていることはありますか。


金澤
地域で行われている行事・イベント。例えば小中学校の学校行事であったり、地域団体のクラブ活動の行事であったり、行政の情報、そういったものをお伝えするのは当然のことなのですが、一番我々肝としてやらなければいけないのが、非常災害時での情報発信ですね。


大崎
具体的にはどういったところでしょうか。


金澤
たとえば大手のNHKさんや民放さんも当然放送はされるのですが、少し中規模、大規模な情報になってしまう。細かなところの情報は、やはり行き届かないところもあるので、そういったところは我々の方がご提供させていただいています。


大崎
なるほど。


金澤
また、そのために今の時代ですと、通信を使っての動画配信も必要になってくるかと思います。


大崎
その理由はなぜでしょうか。


金澤
我々はケーブルテレビですので、線がつながっていて初めて情報が届けられるという放送形態です。ですからその線がもし大きな震災等で切断されてしまった場合、情報が届けられなくなってしまう可能性があります。これらを補うためには、通信か無線を使ってというのが一つの使命であると捉えて、災害時の訓練も兼ねた月一本の動画配信番組にも携わらせていただいております。


大崎
確かに東日本大震災の際も含めて、SNSの普及に伴って何が正しい情報か分からない時代ではありますし、震災の際の情報っていうのは難しいところですよね。


金澤
はい。


大崎
震災時のお話も含めて、早く正確な情報を伝えることは凄く大切なことだと思うのですが、同時に情報発信は間違った情報を流さないという責任を伴った事業だと思っております。その点で、何か対策がありましたら教えて頂けますでしょうか。


金澤
まずは行政から発される情報をベースにお届けをする。自分たちが現場へ行って見たものを、自己解釈での言葉をつけるのでは無くて、見てきた映像とかをそのまま流すとか、そういったところが間違いなく伝えられるところだと思っております。


大崎
まさに地域密着というか、地域のための放送だからこそ出来ることですね。


地域との共生に向けた変化

大崎
テレビ業界では、若者離れという言葉が使われることもありますよね。先ほど動画配信ということも仰っていたと思うのですが、社長様が就任されてから、新たに対策として始められたことはありますか。


金澤
確かに放送というものからは、若者離れを感じてはいます。ただ、映像から離れているわけでは無くて、見る媒体が変わってきた。テレビというものから、スマートフォン。またタブレットというもので色んな情報を得るということをしている。


大崎
確かに媒体の変化はありますね。


金澤
ただ、短時間の情報であればそれが苦痛にはならないと思うのですが、例えば10分くらいのものをスマホで見るとやはり疲れてしまう。どこかのタイミングでは必ず、家のリビングにあるテレビで動画を見ると思います。ですから、テレビ離れというよりも放送離れと思っております。


大崎
なるほど。


金澤
映像を自分の好きな時間に、自分の趣味嗜好にあった情報だけが得られるようにしたい。そういったニーズが高まってきているということなので、そういった時間の概念や、場所の概念を変えて行きましょうという取り組みはさせていただいています。


先に見据えるのはバーチャル

大崎
今後の事業の展望をお聞かせいただいてもよろしいですか。


金澤
現在放送や通信といった分野の特に、通信の方に重きをおいていきたいと考えています。映像の流し方、場所ですね。そこが通信の方に変わってくるよというところ。


大崎
なるほど、先ほどお話のあった視聴者ニーズの変化への対応ですね。


金澤
後はコンテンツという中では、リアルな映像よりも作られた映像、CGや3Dといったバーチャルの環境。そういったものが必要になってくるであろうという風には捉えています。そちらの制作の方にも力をいれつつ、どのようなものが受け入れられるのかはトライアルをしている最中ですね。


大崎
今取り組み始めている段階なのですね。どのような形で取り入れることをお考えですか。


金澤
町の古い建物をリアル映像だけではなくCGにして、加工を加えつつ遊びができるような体験の場。こういったものを作っていくということも、今からの子供たちの方にも受け入れられやすいのかなと。


大崎
子供の遊びの場ですね。3Dが地域社会に貢献できる活用法があれば教えていただきたいです。


金澤
地域の方々であればまあ、その場に行くことはすぐにできるとは思いますので、行く前の下調べというところでは十分活用できるかとは思います。また、遠方の方々にはまず知っていただく。そして、見た場所のリアルの所に来ていただくと、体験型のものができるというイメージです。


大崎
なるほど。


金澤
例えば博物館ですと、見て終わりでは無くて、そこの実際の博物館にある絵を見ていただいたその帰り道にどういったものがあるのか。その絵のまわりにどういった他の絵の出展があるのかとかね。そういったリアルに体験体感していただく場所を同時にご提案できていることによって、町の人の入りというのが変わっていくのではないかと感じています。


大崎
確かに、絶対に行くきっかけになりますよね。


地域を舞台とした映画・ドラマ制作へ

大崎
町のCG映像の制作といったところも一種の地域の方々との関わりだと思うのですが、放送事業以外で、地域の方々との関わり方というのはどういうところがありますか。


金澤
そうですね、取り組みの一環として捉えていただければいいのですが、以前弊社では映画を制作させていただいて、それの題材となっているのが、冒頭でもお話をした、会社の設立のきっかけになります。


大崎
映画も制作されていたのですね。


金澤
それがこの半田市にあります、現在の「山車(だし)祭り」というお祭りですね。この山車(だし)が31輌も半田市にありまして、それを、一斉に集めてみましょうというイベントが行われました。約40年ほど前です。この時が、このCACをつくるという一つのきっかけにもなったようですね。


大崎
そうだったのですね。


金澤
この時の、はじまりの物語、これをドラマ化させていただいて、映画にさせていただきました。また、地域の方々をオーディションさせていただいて出演いただくといった地域ぐるみで作った番組、コンテンツでして、地域の方々との関わりというところですと地域のコンテンツをともに作りましょうという、これが一つの関わりかなと思っております。


大崎
今後そういった地域との相互的なコンテンツを制作する計画はありますか。


金澤
そこから派生してというか元々やりたかったのは地域の方々の思い出ですね。みなさん幼少期など、何かしら核となっている思い出があると思うのですが、そういったエピソードを寄せていただいて、それをそのままドラマにしましょうということを今手掛けています。出演していただくのも当然地域の方々。我々を知っていただき、ファンになっていただくという関わりさせていただいております。


大崎
地域でドラマ化していただくなんて、絶対嬉しいですよね。たしかに、ファンになりますね。


地域の魅力を伝える放送

大崎
地域の方々の一番の魅力はどこだと思いますか。


金澤
いろんな年齢層の方々がお見えになりますし、それぞれ個々に取り組まれている地域への行事であったり趣味であったり、多岐にわたるのですが、我々の知らないことをみなさんたくさんお持ちですね。なので、より深く掘り下げていくとみなさんにお届けする情報があります。また、他の地域にも知ってもらえるように情報を届けたいと思っています。


大崎
なるほど。どういった発信の仕方になるのでしょうか。


金澤
例えば、地域の大半の方が深く知っているようなことでも、他のエリアの方々にはあまり知られていないかもしれないので、さらりと簡潔に情報をまず流して、こっちに来て見ていただこうとか。そういった発信の仕方、関わり方ですね。


大崎
地域の方々の魅力を伝えるという関わり方ですね。先ほどから、他の地域の方々に向けて、とも仰っていますが、地域を盛り上げるという点で何か思いがあるのですか。


金澤
そうですね、我々ケーブルテレビ局は全国色々あるのですが、エリア色が強いんですよね。


大崎
地域に向けた放送というイメージはありますね。


金澤
ただ、生活圏は広いはずなんですよ。我々が住んでいる町だけが生活圏ではなくて、隣近辺の市町村、また、県内っていうのは生活圏になる。


大崎
確かにそうですね。


金澤
ある町・市のケーブル局がそこだけの情報を流せばいいというわけでは無くて、情報を県内に、国内にということは、どこも思っていることだと思います。例えば、隣にある饅頭屋さんがおいしいというのは地域の方々はみなさん知ってますよと。ただ遠方の方々は知らないので、それをお伝えするのも我々の役割ですかね。


大崎
そういったところでも色々媒体を変えて今試されていらっしゃるといった感じですよね。


金澤
そうですね。あとはケーブル局同士での番組の流通であるとか情報を提供しあうということもあります。


個性を生かしながら一つに出来る環境

大崎
今、従業員の方々に期待していることは何かありますか。


金澤
昨年のケーブルマンオブザイヤーの受賞もそうですけど、私が取ったわけではなくて、無理難題をみなさんで解決していただいた結果だったと思っています。


大崎
お話にあった映画製作が受賞のきっかけでしたよね。


金澤
みなさん何かしらの対応策を考え、個々だけにならずに、一つのチームとして何が出来るのかというところを挙げていっていただけると、よりおもしろいものが出来るのではないかと。部署の垣根をなくして取り組んでいっていただける方ばかりだと思っております。


大崎
一つ一つを繋げるコミュニケーションの重要さですよね。実際、採用ページとかを見させていただいて、社員さんの仲がすごくいいなっていう風に感じているのですが、コミュニケーションを円滑にするために行っていることは何かありますか。


金澤
個性的な方々が多いです。水と油という風にはならないですけど、うまく融合している。みなさんこう和気あいあいとしているような感覚ですね。なので、雑談の中できちんと情報共有がされていたり、コミュニケーションが図られているかなという風には感じています。


大崎
個性が強い。そんな従業員の方々の強みはどこだと思いますか。


金澤
私がこういっちゃいけないかもしれませんが、ある意味放置して好き勝手やってても何とかなってるよねって所ですよね。


大崎
自立されているという解釈ですかね。自分で仕事を探されるというか。


金澤
そうですね。全員がそういう全部出来るというわけじゃないですけども、それぞれ管理する方々が、きちっとコントロールもされてはいますし、入ったばかりの子たちも、自分たちの意見もきちっと持たれている。会話の中に入っていただけているので、どちらかというと指示を出す側も指示を出しやすいですし、受ける側も自分なりの個性として出していきやすいのかなというのはあります。


大崎
今求めている人材としても、やはり自分の個性を出していけるような学生を求めてらっしゃるのですね。


金澤
はい。


大崎
なるほど。地域の一員としての従業員の方に対する今のお気持ちをお聞かせ願えますか。


金澤
取材、また営業と色んな場面で外に出ていくことがありますので、地域の方々に顔と名前を覚えていただく。CACの誰々さん、であったりですね。誰々君に頼んでおけば、何とかしてくれるなとか、ラフというのか、対話のしやすい地域の担当者という風になっていただくことをお願いします。

 

失敗しても引きずらず、気軽に

大崎
ありがとうございます。それでは最後に今の学生、若者に対して一言頂けますか。

 

金澤
私はそこまで、深く考えているわけではないんですけど(笑)あのー楽しく続けられる仕事を探していただく。最初で就職したところで失敗したからといってもくじけずにまあ楽しいところを、まだまだみなさん若いはずなので気軽に探していただければなと思います。


大崎
会社とのマッチというところにもこだわりすぎずに、というところですか。


金澤
はい。その都度試してみればいいんじゃないかなと思います。


大崎
そうですよね、僕が年上の方と話させていただく時にそんな若いんだからなんでも出来るよとみなさん仰るんですよね。


金澤
30くらいまではまだ大きな失敗しても良いでしょうし、そのあと10年間くらいは細かな失敗はやはりするでしょうし、そこから徐々に伸びていけばいいと思いますよ。ただまあ、後に引きずらなければね。


大崎
ありがとうございます。貴重なお時間ありがとうございました。


金澤
いえいえ、とんでもないです。ありがとうございました。


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