慶応義塾大学3年生
北原 紫帆
CAGAMI合同会社
名村 和弘
学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。
今回は、CAGAMI合同会社の代表取締役 名村 和弘様に、お話を伺いました。
慶應義塾大学文学部。大学生活では、アジア最大規模のビジネスコンテストを運営する学生団体に所属。デジタルメディア事業のインターンシップに参加したのち、現在は株式会社クイックで活動中。趣味はドライブと旅行。
学校卒業後、地元の建設会社に11年間就業し、土木のいろはを学びました。その後、9年間大阪の建設コンサルタント会社に就職。自身で20数年間発注者支援業務に携わることができ、平成29年3月にCAGAMI合同会社を設立。趣味はメダカの飼育、ドライブ、映画・絵画鑑賞など。何事も先の可能性を信じ努力を持続し乗り越える!!輝く明日を目指して地域社会の環境や自然の調和をテーマに地域に根付いた街づくりを提供し、想いをかたちにして創り続けます。
目次
北原
本日はよろしくお願い致します。
最初に、名村様のご経歴と御社の創業の経緯についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
名村
私は神戸電子専門学校を卒業したのち、建設会社に入社し技術を学びました。その後建設コンサルタントに転職しました。建設コンサルタントでは土木の設計調査・管理というものが主な業務で、経験を積んでいく中で、私自身がその業務の中でも管理業務に長けていると感じました。その結果、今現在の職種である建設コンサルタントの道に入ったのですが、これからはどこかの企業に勤めて管理業務をやるというよりも、自分で起業して、管理をしたいと感じたことで起業しました。
北原
設立してから事業拡大をされてきたと思うのですが、安定した事業拡大や実績は何だったとお考えでしょうか。
名村
建設コンサルタントの管理業務は、自分についてきてくれる人員がいないと成り立ちません。私自身、官公庁で管理技術業務をしていまして、その中で私を信用してついてきてくれた人員が多くいたのが一番の要因だったのかなと考えています。
北原
そうだったのですね。その方たちは、名村様のどのような姿勢や理念に共感されたとお考えでしょうか。
名村
官公庁の仕事は、定時が9時から17時半なのですが、私は朝5時には現場を見回って様子や写真をノートにまとめ、30分後には事務所についていました。そして朝9時にみなさんが出勤された時に、現場の様子や当日の業務をみなさんに共有していました。また私自身休憩などもとらず常に働いていましたね。人よりも早く動き、情報を集めたり、すべき事を網羅していたりなど、そういった姿勢を見てついてきてくれたのかなと私自身思っています。
北原
朝5時には現場に入る事や休憩を惜しまずに働くなどの努力は、大変身体的負担も伴うと思うのですが、
そこまで努力できた背景は何でしょうか。
名村
私自身、努力しているという自覚がなく負担にあまり感じていませんでした。やっぱりこの仕事が好きなのかなと思います。ですけど、他人には負けたくないという気持ちは強く、その意識の中で業務に取り組んでいたら結果として残ったという感じです。
北原
名村様にとって天職だったのですね。
名村
私自身、過去の建設企業における経験で、数億円の工事を数多く受注しこなしていました。それに対し現在は数千万円の工事の受注が多い時代となっています。なので、他の人にとって、イメージが湧きにくい場面においても、私は過去の経験でカバーしながら要因を探ったりアイデアを出したりする事ができるので、仕事をする事が楽しかったですね。
従業員の声と苦い経験が、企業をつくる
北原
これまでの事業拡大の過程で生じた問題はなんでしょうか。
名村
実際起業すると、たくさんの人材が入ってきました。売上を左右するのは人なので、人に裏切られた事で売上が落ちてしまった事がありますね。
北原
そういった問題を受けて、名村様ご自身どのようなご対応をされていましたか。
名村
従業員とずっと付き合っていくのだという気持ちで一人一人と接していく事を徹底した結果、私の気持ちを理解してくれる事で売上が安定しました。
北原
どのような形で従業員さんとコミュニケーションをとられているのでしょうか。
名村
仕事後に、電話による悩み相談を受け付けるようにしました。その結果夜になると多くの電話がかかってくるようになりました。悩みがある状態では、個人の能力は最大限に発揮されないと思うので、私が悩みを取り除ける一助になれれば、と思っています。
北原
従業員さんの悩みを聞いている中で、新たな気づきなども生まれてくるのでしょうか。
名村
そうですね。悩みに共通している事なども多く、この機会をきっかけにしてボーナスを設けたりなどの社内制度の変革なども実施しました。
北原
ただ聞くだけではなく、制度を加えるなど、名村様だからこそできる事に取り組まれてきたのですね。
名村様として企業を経営するうえでは、今仰っていただけた「従業員一人一人を大切にする」という部分を大切にされているかと思うのですが、他に経営者として心がけている事はございますか。
名村
私自身が建設コンサルタントに転向し従業員として働いている時は、大抵自宅から離れた仕事先を転々としながら働くという生活スタイルでした。単身赴任という形で転々とするだけではなく、給料も安定しなかったので土日や祝日もアルバイトに明け暮れ365日仕事をしていました。
かなり苦しい思いをしてきたなかで、自分で事業を始めた時には、私についてきてくださる方の中では私のような苦しい思いをする人はなくそうと思いました。
その結果、自宅からの通勤時間を短縮させる事と、賃金の安定化に集中して取り組むようにしており、従業員の満足度も高くなりました。
北原
名村様ご自身が苦労したご経験が経営に直接的に反映されているのですね。
心身の健康がなくては、企業は成長しない
北原
続いての質問なのですが、社名の由来において、将来的にトップに立てるような企業をイメージして命名したとあるのですが、トップを意識するようになった背景と、トップを実現するために必要だとお考えになっている事をお聞きしたいです。
名村
国内には同業他社が多くあります。建設コンサルタントとは、設計・調査・測量・管理を主に行っているのですが、どれかの分野の突出を目指す企業があります。その中でも、管理を専門的に行っている企業は少ないと思ったのですね。そのため管理部門でトップに立ちたいと、そう思うようになりました。自分自身と従業員の心身の健康が担保されれば、必ず成し遂げられると確信したので「CAGAMI合同会社」と命名しました。
北原
心身の健康を重要視されているとの事なのですけれども、御社は現在、健康や美容分野にも事業を拡大されていますよね。そういった分野に着目された背景は何でしょうか。
名村
先ほど申し上げたように、私自身が単身赴任をしていました。忙しかったため常に身体の調子が良くなく、周りにも心の病と闘っている人が多かったです。自分や周りがこのような状況だったので、心身の不調で苦しむ人を1人でも減らしたいと思っていました。まずは健康が大事で、そしてそれが達成できたら人々は美容を求めると思うのですが、何よりも健康を維持する事に着目しました。それが事業拡大の背景です。
北原
名村様ご自身の過去のご経験が、ここでも反映されているのですね。
名村
そのとおりです。今では、私含め従業員全員が、仕事に邁進できる状態になっています。
従業員の高い定着率の秘訣、それは上下関係の払拭
北原
HPを拝見したところ、90%以上の高い定着率を誇っているとの記載がありました。これまでのお話を受けて、名村様の従業員に寄り添った経営の定量的結果だと考えているのですが、名村様ご自身は、高い定着率の要因は何だとお考えでしょうか。
名村
弊社は従業員1人1人を大事にしたいと考えています。通常部下ができたら、様子や結果が気になり、また評価も行いますよね。評価は多くの人が敏感に反応する事です。そのため、弊社では従業員の中では上下関係がない状態にしています。
北原
上司部下という上下関係がある事で、部下が評価を気にするようになって、評価が落ちて仕事に対するモチベーションがなくなってしまう事を避けるために、上下関係という概念自体企業の中で減らしていく取り組みが、定着率に繋がったという認識でよろしいでしょうか。
名村
そうですね。ですから様々な年齢の方が弊社にはいて、通常は年齢が高い方が上司にあたるわけですが、弊社では年齢はあまり関係ないです。結局実力がある方が活躍されるので、30代の人が60代の人に意見を主張する場面も多くありますね。
北原
若い人が、自分より経験がある人に対しても意見を言いやすい環境なのですね。
新卒の可能性を広げられる企業でありたい
北原
御社の今後の中長期的なビジョンについて教えてください。
名村
まず中長期的なビジョンとしましては、売上の向上ですね。具体的には弊社の実力を3倍くらいにできればいいな、という目標を立てています。
北原
ビジョン実現のために、従業員に求めるスタンスがあれば教えて頂きたいです。
名村
私も若いころからよく言われた事が多かったのですが、自分が目指している人がいれば、真似をして欲しいです。人から吸収する姿勢は常に持ってほしいですね。
北原
実際に同じ環境で働いている人のなかで、この人の真似をすれば良いのではないか?という人を見つけられれば、その人から学んで真似をする。そしてその人自身の成長に繋げていく。このような認識でしょうか。
名村
そうですね。まさにそのとおりです。
北原
ありがとうございます。いま仰っていただいた事は従業員全員に共通する話かと思うのですが、特に新卒に限定して求めるスタンスはありますか。
名村
最近の新卒の方は、想像力や行動力がすごくあるように思います。しかし、それを大人が認めようとしないものですから、やりたいと言った事に蓋をしてしまうのですね。だからそれがないように、「あなたがやりたい事ならやってみれば?」と言える上司が必要で、その環境を弊社では整えたいと思っています。最近の新卒は多機能で、想像力や行動力に長けているので、思い描いている事を線で結べたら、すごいものになると確信しています。
新卒に求める事は、諦めない事ですね。若い方は、発想力はあっても、諦めてしまう方多いので、諦めない事は必要です。
北原
ありがとうございます。名村様ご自身、上司や周りに言われた事を素直に受け止めて、ひたすらにこなすといった指示待ち人間よりも、想像力や野心をもって、こうしたいああしたいという気持ちがある新入従業員の方に期待を寄せていられるのですね。
名村
そのとおりですね。安定しているというよりも、あれもこれもと挑戦する方たちを望んでいます。
実力をつけるには、他人に流されない事
北原
入社すぐに即戦力になる社会人一年目を迎えるために、学生時代に必要な経験は何だとお考えでしょうか。
名村
まず、人に流されない。人の意見に耳を傾ける事は大事ですが、自分のやり方で進める事は必要ですね。あと、やった事はメモにする。私もいまだに10年前のメモを見返したりします。自分の持っている能力を最大限発揮するという意味において、10年前も20年前もやっている事は一緒なんですね。メモ書きをみたら、その時代の自分の能力を確認できるので、自分の実力を知るという点でメモは必要です。
北原
自分の事をよく理解する事が必要なのですね。そのための手段としてメモが有効であると。
名村
そうですね。自分が成し遂げた事や、発想を書きます。今ひらめいた事をすぐに書く。それが大事だと思います。
北原
ありがとうございます。人に流されないという点は何故重要だとお考えですか。
名村
ある企業のある部署に配属された同期が10人位いたとします。その方たちを観察すると、変化があまりない事に気が付くと思います。その方たちよりも飛びぬけた事や違う事はしないでおこうとなぜか考えてしまう事が多いと思いますが、人がやってない事をやろう、できない事をやろうと考えなくては成長できませんし、飛びぬけるには人と違う事をやらなければいけません。
北原
なかなか大学生って、自分の考えややりたい事が確立していなくて、周りの意見を取り入れていると、影響されて考えがコロコロ変わってしまう事が結構多いと思います。
今のお話の中の「人に流されない」という部分は、人を見て刺激になる事は真似するのはいいけど、動いていない人をみて、自分も同じようにそこにとどまるのは良くないという事を意味しているのでしょうか。
名村
そのとおりです。
北原
高みを目指してアクションを取る事を目的として意識すればいいという事ですね。
名村
それができていれば、活躍できる人材になれると思います。その姿勢はずっと必要で、弊社でも70過ぎてても活躍する人もいますし、私自身もまだまだやれると思っています。
北原
歩みは止まらないわけですね。
名村
止まらないですね。弊社は寿命が来るまでやるぞという人がいるので、ここでやめるわけにはいかないですね。
北原
私自身、今回の対談では刺激となるお話をたくさんお伺いする事ができ大変嬉しく思っております。ありがとうございました。
名村
こちらこそありがとうございました。
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