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多くの学生が間違える、ガクチカのエピソード選択。

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多くの学生が間違える、ガクチカのエピソード選択。

法政大学4年生

千原 拓巳

株式会社ガスパル九州

柚木 英明

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

今回は、株式会社ガスパル九州の代表取締役社長 柚木英明様に、お話を伺いました。

法政大学4年生
千原 拓巳

法政大学社会学部。2022年4月より株式会社クイックで就業予定。就活では人材業界を中心に活動。大学ではアメリカンフットボール部として活動していた。趣味は筋トレとサウナ。最近はポケモンGOにハマっていて、一日10キロ歩くのを目標にしている。

株式会社ガスパル九州
柚木 英明

ソフトバンクグループ勤務を経て、2011年 株式会社ガスパルに入社。2012年 人事部部門長に就任。2015年にガスパル九州分社化に携わり、2017年 株式会社ガスパル中国、株式会社ガスパル四国の代表取締役社長に就任。2019年 株式会社ガスパル九州代表取締役社長に就任し、現在に至る。

目次

千原:
柚木さまは、社長になる前は人事部門のお仕事をされていたとお聞きしました。新卒で入社したときから、ずっと人事だったのでしょうか。

柚木:
いえ、新卒では生命保険会社に総合職として入社しました。途中から人事・労務の部門に異動になりました。

千原:
いまは代表取締役社長をされていますが、その前も人事ですか。

柚木:
そうですね。就任するまではずっと人事部門の仕事をしていました。


脱炭素で、求める人物像にも変化。

千原:
長らく人事部門でお仕事されていて、学生と関わる機会も比較的多かったのではないかと思います。最近の学生に対する印象はありますか。こんな傾向があるといったような。

柚木:
面接での受け答えは上手な人が増えたと感じます。ただ、話す内容が似通っているとも感じますね。

千原:
どんな点でそう思われますか。

柚木:
志望動機がみなさん似ています。社会に貢献したい、九州に貢献したいという話が多いです。もちろんその通りなのだと思うのですが、あまりに似すぎていて、少し物足りなさも感じてしまいます。

千原:
最近は面接の情報をWebで調べられるので、学生が面接対策をし過ぎている弊害はあるかもしれないですね。逆に、こんな志望動機の人に来てもらいたいというのはありますか。

柚木:
カーボンニュートラルというキーワードが象徴的ですが、いま世界のエネルギー産業は大きな転換点にあります。ガスに限定せず、エネルギービジネス全般に興味関心のある方に来ていただけると嬉しいです。

千原:
安定を求めてインフラ関連の企業に入社する、という考えは、いまはもう通じないのかもしれないですね。

柚木:
もちろん、脱炭素の時間軸は2050年に設定されていますから、直ちに大きな変化があるわけではありません。事業自体が安定しているのは確かです。ただ、いち早く脱炭素に対応した事業モデルを確立した企業が、新市場でイニシアチブを握れるのも事実です。我々はその競争に打ち勝ちたいと考えています。


誠実さへの共感が、入社の決め手。

千原:
実際に、入社される方とは、いまおっしゃったようなビジョンを共有されているんですか?

柚木:
ご入社される方には、当社が今後どのように事業展開していくかお伝えしています。大きな転換期であることを理解した上で、興味を持って入社してくれていると思います。

千原:
ちなみに、柚木社長が入社したときは、どんなところに共感して入社を決められましたか。

柚木:
ガスパルが過去に行政処分を受けたのはご存じだと思いますが、そのことを面接の場できちんと説明をしてくれました。そしていま、業務や教育の体制をいちから見直して、お客様との信頼をゼロから作り上げていく途上なのだと。

千原:
いまでも採用ホームページにメッセージが発信されていますね。

柚木:
失敗を隠さず公表して、二度と問題が起こらないように取り組んでいくという、真摯な企業姿勢に惹かれました。入社するときの最後の決め手は、そこじゃないかと思います。


誠実であり続けるために、挑戦する。

千原:
カーボンニュートラルという、何百年に一度あるかないかの変化に直面するなかで、社員に求める誠実さの意味合いは変化していますか。

柚木:
結論、変わりません。「誰に向けた誠実さか」を考えるとわかりやすいと思います。

千原:
具体的に教えていただいてもいいですか。

柚木:
ガスパル九州には大きく6つのステークホルダーの存在があります。ガスを利用する建物の入居者様、建物のオーナー様、お取引先様、地域社会、グループ各社、そして従業員。

脱炭素への対応は、ステークホルダー全体を取り巻く地球環境・世界経済に関わるミッションですから、サステナブルにエネルギー供給できる体制づくりへの挑戦は、私たちが誠実なサービス提供を続けていく上で欠かせない要素です。

千原:
今後、会社として挑戦が必要だというお話ですが、安定したインフラサービスを届けるという現在の会社の役割からすると、大きなマインドチェンジが必要にも思えます。

柚木:
ガスを供給する事業者には、守るべき法律が厳格に定められています。新しいことに挑戦するとしても、ガス供給がゼロになるわけではないので、これまでの事業はルールを順守してしっかり継続していく必要があります。

千原:
でも一方で、変化していく必要もあって…。難しいですね。

柚木:
変化するというより、広げるという感覚ですね。これまでの誠実さに、新しく挑戦という要素が加わってきた。

千原:
挑戦できる組織に向けて、会社として具体的に取り組まれていることはありますか。

柚木:
入り口として一つ用意したのは、チャレンジ目標制度です。自ら目標を宣言して、それを達成することで、評価に加点するという仕組みです。これはある程度、定着してきたのではないかと思っています。


失敗の手本を見せて、チャレンジを促進する。

千原:
制度ができて、社員の方は積極的に挑戦するようになりましたか。

柚木:
いえいえ。そんな簡単にはいきません。これまでルール厳守でやってきた組織だけに、殻を破るのは難しい。長らく安全・安定を求められてきた背景がありますから、失敗に慣れていない人が多いですよ。

千原:
そこはどうやって乗り越えていくんですか。

柚木:
これはまだ構想段階なのですが、失敗の事例と言いましょうか。こういうトライの仕方であれば、結果が成功じゃなくても会社としては評価します、と示すためのガイドラインを作成している最中です。

千原:
失敗例みたいなものを提示するということでしょうか。

柚木:
そうですね。感覚としては近いと思います。

千原:
この手の話でよく聞くのは、とにかく球数を投げて失敗を重ねないと上手くならないという理屈です。柚木社長のおっしゃるのは、そこからもう一歩進んで、失敗の怖さを払拭するような施策で、個人的にはありがたいと感じる取り組みです。

柚木:
本当は、失敗しても失うものは何もなくて、成長が得られるだけなのですが、その実感を得てもらうためにも、会社側のサポートが必要なのだと考えています。


誰もが社長になれる可能性を秘めている。

千原:
自分で事業を始めて社長になるのは分かりやすいですが、社員として勤務していて、そこから社長に昇格するのは、なかなか想像がつきません。どういったきっかけがあるのでしょうか。

柚木:
私の場合は、分社化されたのがきっかけですね。それまでは人事部門長を担当しており、分社化を機に中国・四国や九州の代表取締役社長を拝命しました。

千原:
人事と経営は分野が異なると思いますが、いきなりできるものなんですか。

柚木:
いきなりはできないですよ。人事の部門長として、あるとき、分社化のミッションを与えられたわけです。もちろん、会社を立ち上げた経験はありませんから、いちから勉強して試行錯誤しながらガスパル九州を立ち上げました。その実績と経験を評価してもらえたのだと思います。

千原:
社員の方には、柚木社長と同じように経営者を目指すつもりで働いてもらいたい、といった想いはありますか。

柚木:
そうですね。常に向上心を持って仕事に取り組んでもらいたいですし、その延長線上に役員になるという目標があるとしたら嬉しいですよ。


転職する前に、会社の力をもっと活かせないか考えてみる。

千原:
本気で目指そうと思ったときに、どうやったら社長になれるんでしょうか。

柚木:
大前提は、まず誰よりも努力して成果をあげることでしょうね。そのうえでタイミングや運も重なって、時の会社の状況によって抜擢されるというのが実情だと思います。

新卒だったら総合職として入社する方も多いと思いますが、自分が希望する部署に配属になるとは限らないし、意にそぐわない異動命令があるかもしれません。でも、そこで腐らずに目の前の仕事に全力で取り組んで成果を出すことです。

千原:
柚木社長の場合は、ずっと人事として働かれていた中で、ある時、まったく畑違いの分社化のミッションを受けて、いちから会社を立ち上げるために奮闘されたのが、まさにそのお話に当てはまりますね。

柚木:
おっしゃる通りですね。会社から与えられる機会を上手に使って、自分の興味や仕事の幅を広げていけると、社会人としての力はどんどん養われていきます。

千原:
最近の若い人は、会社に合わせるのではなく、自分の興味に合わせてカジュアルに転職をすることが多いと感じています。ステップアップのための転職と言いながら、実際には、貴重な成長の機会を捨てているのかもしれないと感じました。

柚木:
転職自体は個人の選択だから別にいいと思いますよ。ただ、一つだけ自分に問いかけて欲しいことがあって、それはその転職が「逃げ」ではないか、ということです。自分のやりたいことは、本当にいまの会社ではできないのか。よく考えた上で、後悔のない選択をして欲しいですね。


好奇心の有無が、成長を左右する。

千原:
一つの会社で働くにしても転職するにしても、個人の力を高めていくことがますます重要になってくると思います。今後、社会人として活躍していくうえで、養うべきスキル・能力について、柚木社長なりのお考えがあればお聞きしたいです。

柚木:
業界を問わない広い観点で言えば、好奇心じゃないですか。

千原:
好奇心というのはどういうことですか。

柚木:
なぜだろうと考える力ですよね。街を歩いていても、こんなところに新しいお店ができていると気づいて、そこを利用する人はどんな人で、なぜこの店は流行っているのだろうかと。世の中で起きていることに対して、興味をもってその事象が起こる背景を読み解ける力は、ものすごく重要だと思います。

千原:
理解はできるのですが、どうやって磨けばいいのかは難しいですね。

柚木:
最近は、意識しないと養われない世の中になっているかもしれませんね。たとえばYoutubeでもネットの記事でも、自分の興味関心に合わせてどんどんレコメンドされてきます。そうすると日常で接する話題が、自分の興味関心の範疇で収斂されていってしまう。外に広がらないんですね。

千原:
なるほど。

柚木:
自分の心地いい環境から、外に踏み出すことが必要です。

千原:
たとえば留学のようなことでしょうか。

柚木:
そうそう、海外はいいと思います。旅行するだけでもいいですね。


リーダー経験より大切なのは継続力。

千原:
その点に関連して、面接の自己PR、いわゆるガクチカと言われる質問に対して、どんな回答をすると、柚木社長としては好感を持つのでしょうか。いま旅行の話も出ましたが、バックパッカーの経験などをアピールする学生もいると思います。

柚木:
興味深いですね。いいと思います。ただ、そんなに派手なエピソードでなくても、ひとつのことを頑張り続けてきた話をしてもらえたら、私は評価していますよ。

千原:
私は学生時代、ずっとアメフトを続けていましたが、そういったことでしょうか。

柚木:
いいですね。誤解している学生さんが多いのでぜひお伝えしたいのですが、リーダーになったり、大会で優勝したりするのが重要なのではありません。継続力がポイントです。

千原:
それはちょっと意外な答えかもしれないです。中高大学と、スポーツを頑張っている学生は実はたくさんいて。でも、華々しい成果をあげているわけではないからエピソードとして弱いと思い、学生時代のバイトリーダーの経験などをアピールしている人はすごく多いと思います。

柚木:
いらっしゃいますね。だから私は、エントリーシートを見ながら質問するようにしています。色々と聞いていくと、学生時代に頑張っていた素晴らしいエピソードが出てくる学生さんは多いですよ。これから就活する学生のみなさんは、ぜひ参考にしていただければと思います。

千原:
本日はありがとうございました。就活生にとって勇気の出るお話をたくさんいただけたと思います。個人的にも、今日学んだことを4月からの社会人生活に活かしていきたいと思います。

柚木:
私も非常に楽しかったです。色々と話を引き出していただいて、時間があっという間にすぎました。ありがとうございました。

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