関西大学4年生
秋元大和
服部エンジニア株式会社
服部 賢治
学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。
今回は、服部エンジニア株式会社 取締役 服部 賢治様に、お話を伺いました。
2024年4月より株式会社クイックで就業予定。小学2年生から高校3年生までサッカーをしており、高校時代は京都の男子校で副キャプテンとしてサッカー部に所属していた。現在は、大学のサークルで、サッカーやフットサルをしているが、最近はゴルフにハマっている。
1991年1月静岡県生まれ。33歳。医学部卒業後に聖路加国際病院に入社して初期研修・救急医として従事。イギリスでMBAを経て2022年に家業である服部エンジニア株式会社に入社。設計の技術者として従事しながら取締役に就任し、現在に至る。
目次
救急医から経営者へ
秋元
まず、ご経歴からお伺いしてもよろしいでしょうか。
服部
私はもともと医師をしていて、救急専門医として働いていました。そんな中、家業である服部エンジニアの後継者問題がありまして、会社経営に携わっていきたいという思いで2022年に入社しました。昨年から取締役という形で、経営や採用活動をメインで行っています。
秋元
そうだったんですね。後継者問題が大きかったのでしょうか。それとも何か特別な思いはございましたか。
服部
私の中で、主に3つの人生の選択肢がありました。1つ目が救急医として続け、場合によっては開業する。2つ目がもともと好きだった海外で医師をする。3つ目が会社を継ぐ。この中でどれが一番新しい体験で、大変で、その分成長できるかを考えたときに会社を継ぐことでした。医師とは全く違う世界なので、会社に入る前に1年間海外でMBAを勉強させていただきました。
秋元
本当に全く違う世界ですよね。
服部
全くもって違うんですが、共通する部分もありました。建設コンサルタントはインフラの測量や設計に携わっていて、工事をする人ではなくその前段階の計画を立てる仕事です。基本的には官公庁や静岡県内の市町村から業務を受託してインフラ整備の計画をたてます。
秋元
例えばどのような事例があるのでしょうか。
服部
例を挙げると、道路が渋滞している道を拡幅したい場合、本当に道路拡幅できるかを検討し、図面に落とし、計画をたてます。その後、静岡県が工事を発注し、最終的に工事屋さんが工事をして、道路が整備されるという形になります。
秋元
御社のような建設コンサルタントという業種がなければ、日本の道路整備は行われないということですね。
服部
そうなんです。救急医と共通するところは、説明の仕方で相手の満足度が変わってくることです。知識だけ持っていても仕方がないんですよ。知識を持っているのは前提で、その上で発注者にどう提案していくか。医者でも同じ治療をするとして、説明の仕方一つで患者様の満足度に雲泥の差が出るんですね。説明の仕方や提案の仕方というところで似通っているかなと思っています。
業界の特徴を活かした地域貢献
秋元
御社のHPから「しずおかアダプトロードプログラム」というプログラムを拝見しました。始めた経緯やきっかけをお伺いしてもよろしいですか。
服部
弊社は、簡単に言うとみなさんの税金でまかなわれるような仕事をしているんですね。なので、地域に貢献をしたいという思いがあります。弊社の社屋は静岡県内に10ヶ所あり、何が一番地域に貢献できるかを考えたときに、「アダプトロード」という道路清掃や静岡県内の周辺環境の美化につながりました。
秋元
「しずおかアダプトロードプログラム」は地域貢献したいという御社の想いが形になっているんですね。
服部
この活動をすることで地域住民の方々から感謝を受けることもあり、昨年は別の事業所でもアダプトロードを開始しました。
秋元
この取り組みがもっと業界の中で広がるといいですね。
広い範囲に貢献できる仕事
秋元
御社のHPにある「人を想い、街を想う」の対象者や想いについてお伺いできればと思うのですが、まずどのような「人」を対象にされているのでしょうか。
服部
静岡に関わる人、と定義しています。インフラを整備すると、その場で生活する人やただ通過する人も関わってくるんですよね。建設コンサルタントは貢献できる対象がとても広いです。例えば通勤時間で片道1時間かかっていたのが、道路が開通されて30分になった場合、往復1時間短縮されるじゃないですか。その1時間を趣味にあてたり、家族との時間にあてられますよね。静岡に関わる多くの人の可能性を最大化できると思います。
秋元
ありがとうございます。「街」の対象ですと、静岡県内になりますか。
服部
現時点では静岡県になります。「街」というと市街地のイメージがあると思いますが、それだけではないんです。山や川の整備にも携わっています。例えば、土石流が起きないよう砂防ダムを設計するなど、防災にも寄与しているので、市街地だけではなく幅広い意味で静岡県の「街」に関わっています。
秋元
一級河川の防災の施策もされていらっしゃいますよね。
服部
最近だと大雨、異常気象、台風が多いんですよね。一昨年の台風15号は静岡県内に大きな被害をもたらしました。その時は、静岡県内の測量設計に関して県内1位の数を誇りました。
顧客、求職者、社員から選ばれるために
秋元
服部様は建設コンサルタントの価値をどのようにお考えですか?
服部
建設コンサルタントは認知度が低いですが、なくてはならない仕事なんですよね。弊社は自分たちのことを「知識を売る智慧の集団」と表現しています。知識を売って仕事をもらっています。表立って目立ったことはしませんが、ないと社会として成り立たない仕事なんです。そういう意味では価値はあるかなと思ってます。
秋元
建設コンサルタントの価値を、今後どのようにして伝えていかれるのでしょうか。
服部
「日本中の建設コンサルタントを誇れる仕事に」というのを2,30年スパンで考えています。その前に中期ビジョンを立てていまして、「静岡県内で最も選ばれる建設コンサルタント」というものを作っています。それを3つの軸で考えています。
秋元
3つの軸とはなんでしょうか。
服部
1つが発注者、顧客ですよね。2つ目が求職者。最後が社員です。発注者から仕事をいただくので、仕事の質を高めていくことを考えています。上位資格をとっていけるような会社にしていこうとしています。求職者に関しては、建設コンサルタントって仕事量が多いので、その分、求職者からも選ばれるようにしていきたいと考えています。そのために求職者だけではなく、今働いている社員が服部エンジニアで働いていて本当によかったと思える企業にしていきたいと考えています。
「転職するなら服部だよね」
秋元
御社ならではの魅力についてお伺いしたいです。
服部
労働環境の良さです。従業員全体の平均残業時間は、令和4年度だと5,9時間、令和5年度だと5,6時間です。繁忙期があったり、技術職だけですと10時間、20時間ある月もあります。それでも他の建設コンサルタントと比較するとかなり低いです。
秋元
想像以上に残業時間が少ないんですね。その理由はどのようにお考えでしょうか。
服部
社員の方々が優秀であること、ノルマがないということ、そして社風の良さが理由だと思います。上司が残っていても部下は自分の仕事が終わったら帰るという社風が挙げあります。上司の方が忙しいタイミングと、若い方が忙しいタイミングって違うんですね。上司の方が帰るまで待たなきゃいけないという社風は全くないです。
秋元
御社の説明動画でも社員の方がそのようにおっしゃっていたんですが、本当にそうなんですね。
服部
そうですね。あとは、役職名でなく名前で呼び合う社風があります。学生さんには会社の雰囲気が良いとおっしゃっていただいたり、同業他社さんからも転職するなら服部だよねって言われたり。
秋元
社内の雰囲気って、学生の身からするとHPからだけでは伝わらない部分があると思います。服部様から直接お伺いできて良かったです。
服部
社内の雰囲気って難しいですよね。入ってみないと分からなかったり、選考フローで採用担当者と会っても本当のところは分からないと思うので。弊社では採用フローの中で直属の先輩と接してもらうことで、会社の雰囲気を掴んでもらったりしています。
経験から学ぶ意欲
秋元
どのような点で御社の社員は優秀なのでしょうか。
服部
私自身勉強になるところとしては、喋り方やプレゼンの仕方ですね。盗みたくなることもあります。建設コンサルタントという仕事は知識だけでなく、提案力、コミュニケーション力も大事になりますからね。その点が弊社の社員は優秀です。
秋元
例えば入社の時点で優秀なのか、もしくは御社で成長されて優秀になっているのか、どのようにお考えでしょうか。
服部
どちらもあると思います。入社段階である程度コンサルタントの素質があるかは見ます。入社後は発注者との打ち合わせでプレゼンの機会があります。設計状況の説明をしたり、複数の提案を持っていってプレゼンしたりするんです。そういうのを少しづつ1年目から経験してもらい、成長していただきます。入る時の優秀さだけでは難しくて、そこからの勉強意欲、ラーニングアジリティがあると自ずと優秀になっていくと思いますね。
秋元
入社後に成長してもらうために、どのような取り組みをされていらっしゃいますか。
服部
弊社の仕事は4月始め3月終わりのスパンで、1年や半年くらいかけてやる仕事が多いんですね。基本的には5年計画と言って、入社する方に5年間でどのようなキャリアを築いていきたいかを表にしてまとめます。それをもとに、どのように成長したいかを本人たちと擦り合わせていくということをしています。
静岡で働きたい学生へ
秋元
どのような学生が御社を志望されるのでしょうか。
服部
学生で志望してくださる方はUターン生が多いですね。県外の大学に出た方が、静岡が良くて戻ってこられます。土木関係の学科が2年前ようやく静岡県内にできたところです。最初に入学された方はまだ大学3年生ですね。
秋元
そうすると、今はUターン生が多くなりますね。
服部
去年入った4人中2人はUターンで、1人は京都の大学院に行った後に静岡に戻ってこられています。静岡は心地よく住みやすいです。コンパクトシティで、ないものはない、住みやすい街です。
秋元
御社を志望する学生に対しての思いをお伺いしてもいいですか。
服部
どんな学部で何を学んでいたか、という条件は気にしていません。実際活躍されてる方は、土木関係の学部でなくても、個人的な能力が高い方が多いです。色々なところに興味好奇心をもって勉強を続けていける方というのが活躍できます。静岡に貢献したいとか、地元に帰りたいという方であれば、土木未経験でも受け入れています。
秋元
未経験で資格を取得するのは難しいのでしょうか。
服部
技術士という資格は難しいですが、それをとると給料毎月50,000円上がります。この仕事は資格を持ってないと仕事ができませんが、引っ越して違う場所で働きたい場合は引っ張りだこになります。そういう意味で、資格をしっかり取れば別の企業でも活躍できると思います。
秋元
土木に興味を持ってなくて、資格を持ってないという方でも、資格をとる努力をすれば御社で活躍できるというところがあるんですね。今後、服部賢治様が社長になられる上で、大切にされている思いをお聞きしたいです。
服部
私は「人財」を大切にしたいと思ってます。知識を売る会社なので、もっと人を大切にしていきたいなと思っています。また、今後DX化も含めて効率化が求められる時代なので、そういうものを促進していきたいと思います。
秋元
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
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