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お客様、地域、従業員に寄り添う会社作り

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お客様、地域、従業員に寄り添う会社作り

北海道大学3年生

髙橋 栞奈

めもりあるグループホールディングス株式会社

沖本 善昭

interview

学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。

今回は、めもりあるグループホールディングス株式会社の代表取締役 沖本 喜昭様に、お話を伺いました。

北海道大学3年生
髙橋 栞奈

北海道大学理学部。2025年卒業見込み。外資メーカーやコンサルを中心に就職活動中。幼少期はバレエ、中高はバイオリンをやっていて、加えて幼い頃からやっていたスキー、スノーボードが趣味。自分の興味があるものにはとりあえず挑戦することがモットー。

めもりあるグループホールディングス株式会社
沖本 善昭

1971年4月生まれ。大学卒業後、大師堂仏壇店へ就職。室蘭市民斎場雲上閣へ異動後、葬送に携わる仕事の奥深さを噛みしめながら仕事に励んだ。苫小牧市民斎場明野ホールでの勤務を経て、1996年、美原メモリアルホールの支配人に就任。2001年には苫小牧市民斎場の代表に就任。時代が変わり企業規模が変わっても創業者から受け継がれる「従業員の幸せを実現したい」という想いが変わることはない。

目次



 

髙橋
沖本社長、今日は本当に貴重な時間をありがとうございます。北海道大学の3年生の高橋栞奈と申します。よろしくお願いします。


葬儀の仕事との出会い

髙橋
まずはじめに就職活動されてから、今までの経緯というものをお聞きしたいです。


沖本
大学を出てそのまま実家で経営していた現在の会社に入りました。グループ内にある仏壇店に配属になって仏壇を販売していたのですが、3年ほど勤務した後、葬儀部門へ異動するように言われました。 ちょうど仏壇販売の仕事が面白くなってきたところだったので、ちょっと残念だったんです。


髙橋
それは、残念ですね。葬儀のお仕事はいがかでしたか。


沖本
どんどん没頭していきました。目の前にお亡くなりになった方、本当に自分が失いたくない一番大事な人を失った、 そういう方々と接して、支えていくという仕事に変わっていったわけなのですが、こんな素晴らしい仕事って世の中にあるのかというぐらい夢中になって 、どんどんどんどん突き詰めて この悲しみを支えていくという仕事を極めていこう。というような思いを持つようになっていきました。


髙橋
そうだったんですね。仏壇販売のお仕事から、葬儀のお仕事への異動は全く違うお仕事になると思いますが、 具体的なやりがいの違い、さらに夢中になられたポイントをうかがえますか。


沖本
そうですね、私は配属当時まだ若かったので、お客様が不安になられるんです。


髙橋
どのようなことに不安を持たれるのでしょうか。


沖本
「あんたみたいな若造がうちの葬儀の担当するの?大丈夫?」 ということを言われるんですけど、
葬儀が終わってみると、お客様の反応って全然違うんですよね。


髙橋
どのように違うのでしょうか。


沖本
「ありがとうございます」 っていう感謝の言葉ってあるじゃないですか。これって、買い物をしたりしてもどこでも言うじゃないですか。でもそういうようなレベルではなくて、 手を握って「あなたに担当してもらってよかった.自分はもう立ち直れないかもしれないもしれないと思っていたけど、あなたがいろんなことをやってくれたことによって、大切な人がいなくなった新しい世界を一歩力強く踏み出していけそうな勇気をもらった。」ということを言っていただける仕事なんですよ。


髙橋
なんだかすごいですね。手を握って感謝されるのですね。


沖本
人生にもっと関わっていくという仕事なんだと気づきました。そこにやりがいを感じましたし、夢中になっていきました。


理念共感型採用活動

髙橋
誰かの人生にかかわるという点において、葬儀というのはお客様の人生の一番つらい場面だと思います。学生にとっても葬儀の業界に入ることは、そのような意味でも覚悟が必要なのかなと思っております。


沖本
そうですね。その意味では、私たちの考え方や理念に共感していただいた方に入社いただきたいと思ってます。だから覚悟ができて入るというよりも私たちの考える理念に沿ってこの仕事をしたいっていう意志をもって入社いただく方が多いですね。

 

髙橋
その理念共感型採用というのを初めて聞いたのですが、具体的にうかがえますか。


沖本
インターンシップも実施してはおりますが、お客様と接していくという場面において、葬儀そのものをかなりリアルに再現し、自分自身が担当者としてのあるべき姿を構築していく。ということを体感いただきながら人を支えていくということを学んでいただく。ということなどです。


髙橋
インターンを通して、やりがいが実感できるからこそ入社されるということなんですね。


沖本
そうですね。もちろんこれは無理!と思う方もいらっしゃいます。それはそれでいいと思っております。入社してから違和感を感じられるより、入社する前にわかったほうがいいじゃないですか。


髙橋
そうですね。



明るい現場にあったのは「愛」


髙橋
ホームページを拝見させていただきました。明るい現場という印象を受けました。このような現場づくりを進めるために意識されていることや、従業員の皆様にどう指導されているのかをうかがいたいです。


沖本
葬儀の先入観かもしれませんが、 皆さんとても悲しくて暗い職場というか暗い場面を想像されるかもしれません。実は全然そんなことなくて、私の目から見たら葬儀で泣いてる姿とかは、とても愛に満ち溢れているんだと思います。


髙橋
愛に満ち溢れている...。わかるようで難しいです。どのあたりがでしょうか。


沖本
亡くなった瞬間から最後の別れの瞬間までもうとにかく全部ですよ。もう愛そのものじゃないかって思うわけです。愛があるから悲しいのだと思います。例えば葬儀で、私たちもミスをすることがあります。 しかしお客様はこうおっしゃる。「こんなに良くしてくれてるから。大丈夫だよ」って。


髙橋
葬儀に関わる人すべてが故人への愛に満ちているからこそ、そこで働くスタッフの方へも優しさのあるかかわりをしてくださるのですね。


沖本
ほんとに優しい世界なんです。 まあそこにいるから従業員も磨かれていきながら明るく、前向きな人たちになっていくともいえますね。担当者が葬儀という限られた時間を提供するのではなくて、どうやってお客様に関わって支えていき、その方がどうその後の人生を歩んでいくのか。


髙橋
愛があるからこそ人間力が磨かれている、いく...。


沖本
そうそう、そうなんです。担当者が葬儀という限られた時間を提供するのではなくて、どうやってお客様に関わって、支えていき、その方が、どうその後の人生を歩んでいくのか。をお手伝いをしていくことが大事であり、私たち葬儀社の仕事である。そういう考え方を持ちなさいということをよく伝えますね。だから人間力って大事なのかもしれまんね。これが私たちの仕事の姿なのだと思いますね。


髙橋
なるほど。社員の方のインタビューも拝見いたしました。入社前に沖本様がおっしゃった言葉についてのお話がありました。その中で「求められるのは知識ではなく、深い愛を持つという人間力だから」という言葉が印象的でした。正直、最初はどういうことなんだろうと思いましたが、まさに今のお話が象徴している。ということであってますか?


沖本
まあ、そうですね。そういうことはよく伝えるメッセージだと思います。


人間力に気づいた原点

髙橋
先ほどの「求められるのは知識ではなく、深い愛を持つという人間力だから」というお言葉は葬儀での経験やお客様の愛が見える現場にいるからということなのでしょうか?


沖本
そうですね。中学時代の話をさせていただきますが、私は1学年500人程度なんですが、常にTOP5くらいの成績をとっているような中学生だったんですよ。ところが、高校生になって、思春期の影響もあるのでしょうが、勉強しなくなったんです。


髙橋
そうなんですね!


沖本
そうなんです。勉強しなくなったら当然、成績も落ちていき、 行く大学もない状態になりました。そのような時期に、たまたまよい出会いがあって僧侶の世界がすばらしいかも知れない。ということを知り、仏教系の大学に進むことになります。


髙橋
そんな出会いがあったんですね。


沖本
はい。その大学は本山のすぐ近くにあります。せっかくそのような大学に進学したのだからお坊さんの資格も取ろうと考え、修行もしましたし、お寺で働きながら大学にも通う。という生活をしました。
その世界がとても素晴らしかったのです。私の高校時代にあった、棘のようなものが全部洗い流されて心清らかになりましたね。特に学んだことは、人のために尽くしていく、悩み苦しんでる人を支えていくことですね。人はこうあるべきと、大学生なりに思いながら生きてました。


髙橋
なるほど。


学びを実践するための動機づけ

髙橋
お寺の方から学んだことを今も活かされているということなんですね。学ぶことは多分誰でもやろうと思えばできると思います。一方で活かすというのはすごい難しいことだと思います。努力されたことはございますか。


沖本
学んだことを活かす、たしかにそれは会社でも同じことが言えます。 動機付けがあって学ぶなら活かしますよね。


髙橋
動機付けという点で、サポートするために行われていることはございますか。


沖本
一般的には評価制度で反映していきますよね。当社の場合はその評価制度が少し特殊です。例えば 売上や、電話応対がすぐれている。といったスキル面も評価項目としてはあるのですが 、それ以上に仕事に向かうスタンスを明文化しております。「めもりあるグループ WAY」というものになります。スタンスの評価も反映する評価制度を導入しております。スタンスですから、新人でもしっかりと評価できる、されるわけです。


髙橋
その制度が素晴らしいお客様への対応や満足度に繋がっているんですね。そのスタンスの中で、沖本様が大事にしたいと思っていることって、何ですか?


沖本
すべて大事ですが、従業員に求めている行動基準に関して言うならば「寄り添うこと」ですね。
「めもりあるグループ WAY」の一番最初に出てくるものです。 




寄り添うこと

髙橋
その寄り添うという点で現場での一番苦労されたこと、大変だなと思うことは何かありましたか?


沖本
一語では語り切れないのですが...たくさんありますね 。
例えば、今もあります。お客様にもっと寄り添うためには、課題だらけです。問題解決とか課題解決という表現があると思います。似たような言葉ですが、明確に違うと思っています。問題は現状マイナスの状態で、いち早くそれを解決しないとマイナスが続いていく状態のこと。課題は現状プラスの状態でさらに上を目指そうとしたときに現れるギャップのこと。


髙橋
なるほど。


沖本
現状プラスな状態だからやらなくてもいいというわけにはいかないという意味で課題は多いですね。しかし、中長期的に見たらそれをやらないといけないということがあるので従業員にも中長期の視点を持っていただくことが大事 です。


髙橋
今も、たくさんあるんですね。そのスタンスがお客様への、「寄り添い」をベースに考えられているからなのかなとも思います。


沖本
そうですね。特に新しいことをやると従業員の反発も起こります。短期的に見ると新しい事ってやらない方が効率が良いかもしれません。しかし、中長期的に見たらそれをやらないといけないということがあるので従業員にも中長期の視点を持っていただくことが大事ですね。将来にわたってどのように良い方法に繋がっていくのかを説明しながら進めていくようにしています。


挑戦へのサポート

髙橋
新しいことを行うという点で、ホームページでは「常識にとらわれない自由な発想の会社」という言葉が印象的でした。どんな発想が実際に現場で採用されたのかな。ということがすごく気になったのですが、 具体的に教えていただけますか?


沖本
そうですね。まず、基本的に現場からの提案はほぼ採用します。


髙橋
あ!そうなんですね


沖本
私たちは、仕事の内容にもよりますけど、エンパワーメントを非常に大切にしています。
特に、お客様が接してるその従業員は、 お客様にとって最前線の人じゃないですか。


髙橋
はい。


沖本
ですから、その従業員がすべて決裁していく。という考え方なんです。その従業員が、このお客様のためにこれをおこなったら絶対に喜んでもらえるだろうと思うならば、進めなさい。と思うわけです。費用がかかってもよい。ということを指導しています。そういう取り組みで予算を使うこともたくさんあります。どんなことを行い、どうお客様に喜んでいただけたのか、どのような効果があったのか、ということを全てシステム上に登録してもらって全社員に共有してます。


髙橋
素晴らしいですね。新しいことを始めるのにはすごく勇気がいると思います。新しいことへの挑戦に対する恐れはないのでしょうか。


沖本
そうですね。恐れはないと思います。周りが支えるので。 何かやりたいというと、みんなが首を突っ込んできて、みんなで新しいことをやります。新しい取り組みはやはり時間がかかったりだとか、しっかり頭を使ってアイデアを練る必要があるなど、一人でおこなうよりも、複数でやったほうが良いものが生まれやすいと思いませんか。また、大変だなというよりも楽しくやっているなという印象も受けます。


髙橋
サポートあってこそ、いろんなアイデアが生まれたり、恐れない心が生まれるということなんですね。




同じ「根っこ」から築き上げたチームワーク

髙橋
お話をうかがうほど従業員の方々の仲がよくて、本当に支え合っていて、お客様に対する支えの心と同様に 従業員の方々同士にもこの支えの心があるのかなと感じました。これは何か教育されてることがあるのでしょうか。それとも自発的な形で生まれているのでしょうか。


沖本
それはですね企業文化だと思います。「仲がいい」ということは価値観の中にはないです。チームワークというのは仲よしとは全く違う。お互いの強み、弱みがあって、その弱みを補完しながら成果を出していくことが良いチームワークなんです。


髙橋
なるほど。そのチームワークという点で、チームワークの良さの秘訣はなんだと思いますか。


沖本
最も大事なことはみんなが同じ根っこを持っているかっていうことですね。


髙橋
みんなが同じ根っこですか...。


沖本
根っこ、「考え方」ですね。それがさきほど申しあげた「WAY」であったりします。


髙橋
同じ根っこを持つ。いろんな従業員の方々いる中で、難しいことに感じます。そういった点は採用する時に判断なさるのでしょうか。


沖本
そうですね。同じ根っこというのは難しいのですが、研修を積極的に行っております。考え方を浸透させるためにWAY BOOKというものを従業員には渡しております。そのWAY BOOKを作る。ということではなくて 、どのように運用し、浸透させていくか。また浸透のプロセスやプログラムをどう開発していくかを大切にしています。それを実践しているため、考え方はしっかり浸透していると思います。


髙橋
なるほど。研修がしっかりされてるのですね。




学生に求めることは挑戦

髙橋
さまざまな研修や採用を通して、人への寄り添いという想いに共感できる学生を採用されると思います。
人に寄り添う想いを実感できたり、行動できそうなことで、どんなことを学生の間に経験するとよいでしょうか。


沖本
寄り添うのはね、それは正直、私もわからないです。 


髙橋
難しいですよね。


沖本
学生のうちに経験していただくとよいことは、やったことのないことへの挑戦です。遊びでいいと思います。やったことないとか、あまり興味ないからやらない。ということではなくて 、ぜひぜひいろいろなことに首を突っ込んで欲しいです。その経験がその人の心を育てていくというか、幅を広げていきます。素晴らしい経験になると思います。


髙橋
なるほど。挑戦しさまざまな経験を経て、自分の経験値とか価値観を広げていくということですね。



めもりあるグループの将来に向けたビジョン

髙橋
さて、未来のお話をうかがわせてください。今、どんなビジョンを想像しながらお客様あるいは従業員の方々に向き合っておられるのでしょうか。これからどんなグループを目指しておられますか。


沖本
全国には、良いお葬式屋さんがいない地域がたくさんあります。そういった地域に私たちが 進出し、いいお葬式をお届けできるようになればその地域の葬儀文化って競争の中で少しずつレベルが上がっていくと考えます。地域の葬儀レベルを高める関わり方をし、葬儀文化の向上を図っていきたいと考えています。
実は、昨年8月はその夢の第一歩がようやく叶いました。


髙橋
おめでとうございます 。


沖本
山形県山形市のなかなか素晴らしい葬儀社をグループインしまして。


髙橋
地域で事業をやっている葬儀社を吸収していかれてDNAを移植されていくわけですね。


沖本
そうですね。


髙橋
今、沖本社長がまず着手したい優先度の高いポイントはなにになられますか。


沖本
優れたリーダーの育成ですね。めもりあるグループの中のリーダーのあるべき姿という項目を定めて、リーダーシップに関する研修を全社員に対しておこなっています。業績ばかりではなく、大事な人を育てる人を育てる。それが永続的発展の中で必ず乗り越えていかないといけないポイントだと考えております。


髙橋
なるほど。御社の考え方やDNAを持ち合わせる人材が1人でも多く増えていくことが、今目指されていることですね。


「一緒に会社作りをする」という想いを持つこと

髙橋
学生に入社いただく際に期待する想いはございますか?
インターンシップを通して、「誰かの別れの瞬間に、その人に寄り添いたい支えたいという想いを持った人 」ということなのかなとは思ったんですけど、もし何かプラスのことがあればお伺いしたいです。 


沖本
そうですね。
「誰かの別れの瞬間に、その人に寄り添いたい支えたいという想いを持った人 」という想いをもった会社を作っていくということを一緒にやってやりたいと思ってくれる人 。 


髙橋
なるほど。


沖本
そう。 会社作りをしたいです。遺族とかお客様に対してもそうだし、社内の従業員に対しても同じようにその人のために働ける人ですかね。そういう人を採用したいです。


髙橋
ホームページの「人材こそ会社だ」というお言葉に戻るのかなと思ったんですけど、そういうことでしょうか。

沖本
たしかに。そう思います。会社は建物じゃないですから。


髙橋

なるほど。本日はありがとうございました。


沖本
こちらこそ。今日はとても楽しかったです。

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