駒澤大学4年生
清水 彩香
三井住友海上エージェンシー・サービス株式会社(MS中国株式会社)
阿部 哲也
学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。
今回は、三井住友海上エージェンシー・サービス株式会社(MS中国株式会社)の上席執行役員中国エリア代表
阿部 哲也様に、お話を伺いました。
駒澤大学文学部英米文学科。2023年4月より株式会社クイックで就業予定。就活では人材業界を中心に活動。趣味は映画・ドラマ鑑賞とドライブ。夢は自分で稼いだお金でマイカーを買うこと。
1995年、三井住友海上に入社。 入社以来営業現場一筋。 2場所の支社長経験を経て2022年4月にMS中国株式会社代表取締役に就任。 趣味はゴルフ、サッカー観戦、B級グルメと地酒めぐり。
目次
清水
本日はよろしくお願いいたします。はじめにご経歴を教えていただきたいです。
阿部
1995年に大学卒業後、三井住友海上(当時は三井海上)に入社しました。入社以来、28年間ずっと営業現場に携わっています。2022年3月まで静岡県浜松市で支社長として勤務。2022年4月に関連会社であるMS中国の代表取締役として出向し着任しました。
清水
昨年の4月にMS中国の代表になられたということで、社長として働かれている中でやりがいを感じる時というのは、どんな時でしょうか?
阿部
三井住友海上の商品をより多く販売いただくために代理店を回る間接営業という仕事から、現在はお客様に直接、保険を販売する会社の経営に携わっています。自分達次第でいくらでもお客様の支持をいただけますので非常に満足感があります。ある意味もどかしさやギャップもなく直接的なので非常に面白いしやりがいを感じています。
清水
なるほど。
阿部
また、地震や気候変動による台風、洪水などの自然災害の激甚化は進んでいます。このような中で保険代理店としての役割、仕事のミッションの幅は広がり、重みを増してきています。お客様が事故や災害で傷つき、経済的に大きな打撃を受けた時にお役に立てるという意味で他には無い社会的に使命感を持てる仕事であると考えています。社員の多くはお客様から「ありがとう」と言われることに喜びを感じると話をしています。私自身も弊社社員が活き活きと働きながらお客様からお褒めを受けたという話を聞くことは大きな喜びとなっています。
お客様第一の業務運営
清水
御社の「お客様第一に業務運営に関する方針」にはどんな思いが込められているのでしょうか?
阿部
私たちはこれまで大きな災害をいくつも経験をしてきました。川が氾濫や土砂災害で家屋が流されたり、地震や津波で多くの方が罹災被害を受けてしまう。損害保険に携わる仕事に従事する者として間近でその姿を見てきました。私たちはお客様に対し災害や事故に対して事前にしっかり備えていただくことをとても大切な仕事として考えています。自分たちの勝手な思いや思い込みでなく、どうすればお客様が安心していただけるかを常に考える必要があります。そのためにお客様のご意向をしっかり確認するプロセスが極めて重要であり、「お客様第一の業務運営方針」にはそのような思いが込められています。
清水
お客様第一の理念、価値観を社長自身が体現するために何か意識していることや、社員の皆さんに対して何か取り組んでいることはございますか?
阿部
お客様の声に対して真摯に耳を傾けることが重要だと考えています。お客様から頂戴したアンケートを分析し業務の改善に活かすようにしています。お叱りの言葉、お褒めの言葉を振り返りながら、掲げているありたい姿とのギャップを確認する機会を定期的に設けています。日々の活動を振り返り、お客様の目にはどう映っているか確認することを大切にしています。
清水
実際にその生のお声を受けて、改善や次のアクションにつながったというようなエピソードは何かございますでしょうか?
阿部
電話対応の在り方についてお客様からお声をいただいたことがありました。電話応対における質の向上を目的に電話応対コンクールという大会が全国各地で開かれているのですが、弊社も社員の参加を推奨しています。客観的な電話応対の物差しをもって自分達の今のレベルを把握する機会としています。コンクールに向けて練習もするのでスキル的にも向上していく機会となっています。お客様の声から改善アクションにつなげた一例です。
清水
そうなんですね。そのコンクールは優勝者とかを決めるのですか?
阿部
はい。地区大会が実施され、成績優秀者は全国大会に進出できます。弊社から出場した社員の中に地区大会で上位入賞した社員もいます。
清水
すごいですね。私もいま、インターンで電話をかけるということをやっていて、インターン生同志でフィードバックをしあったり、時間を決めて、その間に誰が一番電話をかけてアポを取れるかということをしています。
阿部
すごいですね。
さらにお客様のニーズに応えるために
清水お客様の安心と安全をお届けするという使命を果たすために現状からさらにステップアップ・成長されるうえで、どんな点を課題とされていて、具体的にはその課題に対してどのような取組を行っておられますか?
阿部
お客様にご満足いただく一つ重要な視点として利便性の向上があると考えています。利便性向上の手段としてDXの活用を図っていますがまだ浸透という意味で課題があります。お客様専用ページというシステムがあるのですが、スマホからご加入の保険内容をいつでも確認したり、事故対応の進捗を見ることも可能でありとても便利です。また、コロナ禍の中では面談での契約手続が難しい局面がありましたが、スマホ上のやりとりで簡単に契約手続きが可能であり、お客様のご希望次第でご案内を行っています。
清水
進捗状況がタイムリーに確認出来るのはすごくいいシステムだなと思いました。その専用ページというのはコロナをきっかけに立ち上がったのですか?
阿部
コロナ禍の前から開発し取組を開始しています。ただ、コロナ禍をきっかけにDX活用の重要性を深く考える機会となりました。先ほどお話をしたお客様専用ページの登録率は2022年度末で弊社ご契約者様の50%を超えるところまでようやく登録いただくことが出来ました。ここまで来るのに4年かかりました。ただ未だ道半ばで最終的には70%まで登録率をあげ、便利な機能を多くのお客様に使っていただきたいと思っています。
清水
会社の業績にコロナの影響というのはありましたか?
阿部
影響はありました。コロナ禍は半導体の需要を激増させたと言われていますがその結果、世界中の半導体が不足してしまった。これにより、新車を購入しようとしても納車までの期間が半年から1年近くかかっています。私たちの取り扱い保険契約の約70%が自動車保険です。新車の場合の多くは車両保険を付帯いただけますが逆に経年した車両には車両保険を削除されるお客様もいます。また増車のタイミングは私たちにとっては契約獲得チャンスですがその機会が減ってしまった。このあたりは影響があったと考えています。
清水
そうだったんですね。
阿部
一方で災害の激甚化が進む中で火災保険の必要性が途絶えるわけではありませんし、自動車保険も自動車を所有し運転する以上、保険に加入する人が殆どですので他の業界と比較して影響度合いは相対的には低かったと言えます。
清水
自動車保険や火災保険はずっとニーズがあるものだと思います。
信頼関係を築く大切さ
清水
お客様の満足、お客様第一、そういった価値を提供するために社長が何か大切にされていることがあれば教えていただきたいです。
阿部
私たちは損害保険に限らず生命保険も販売しています。例えば生命保険にご加入いただく場合はお客様のお身体の状態を確認する必要があります。過去の病歴も含めてお聞かせいただくので、かなりセンシティブな情報を頂戴することになります。信頼できる営業担当者にしか自分の身体のことは話しませんよね。保険販売の仕事は本当にお客様との信頼関係が重要です。お客様としっかりコミュニケーションをとる事はその前提としてあります。お客様との会話の中でお話いただいたことを記録していくことで、何度も同じことを聞かないように工夫をしています。願わくはお客様のことを誰よりも知りたい。そうで無いと痒いところまで手が届く仕事は出来ないと考えています。
清水
お客様を深く知るためのコミュニケーションが大事というふうにおっしゃったと思うんですが具体的にはテクニックといいますか、どのようにお客様のことを知るための関係性を築かれていくのか気になります。
阿部
テクニックはあるのかもしれませんが簡単ではないと思います。はっきりしているのはお客様がお困りの時に私たちがどうお手伝いが出来るかですね。それによりお客様からの信頼度は劇的に変わるということでしょうか。例えば自動車事故を起こされた時に私たちが動くことでご不安を和らげることが出来れば保険という目に見えない商品の価値を体感いただくことが出来ます。こういう活動を積み重ねた向こうに色々なことをご相談いただける関係があるのだと思います。
世の中の困りごとを早めに示唆する環境作り
清水
今後、社長として御社をどういう風にしていきたいか、目指す姿、ビジョンというものがあれば教えていただきたいです。
阿部
IT技術が進んでいく中でも私たちは人を介すビジネスモデルを基本としています。先ほどお話したような利便性向上の観点でDXの活用は進めていきますが、根本的には先ほどお話したような人を介すからこそ出来る価値を追求していきたいと考えています。また、今年度は補償前後の価値提供にも力を入れていきます。保険に加入することで事故が発生した時に経済的な損失をカバーすることが出来ます。しかし、事故は無い方が良いに決まっています。事故発生を出来るだけ減らす仕組みのご提供や事故発生後に可能な限り早く回復するお手伝いが出来ないかを考え、これを補償前後の価値と定義し三井住友海上グループ全体で取り組んでいきます。
清水
事故を減らす仕組みというのはそういったものですか?
阿部
例えば、学校周辺の地図に三井住友海上が持つ事故データを組み合わせれば、どこの道路で頻繁に事故が発生するかは把握することが出来ます。事故が頻繁に起こるような道は通学路から除外すれば良いですよね。また子供110番の家も地図上に掲載しているので特に小さいお子さんをもつご家庭や小学校での活用ニーズを見込んでいます。
清水
そういったサービスも提供されているということは存じ上げなかったです。素晴らしいと思います。
阿部
また、ドラレコ型の自動車保険の販売にも力を入れています。事故状況を客観的に判断出来るので早期の事故解決に繋げる事が可能です。またドラレコ映像から公道の損傷をAIで検知し自治体への提供も行っています。公道損傷の早期発見、修復は交通事故削減に繋がるはずです。
清水
お客様に安心・満足を提供するという会社の考え、理念が反映されているサービスだなというふうに思いました。今、御社で力を入れているのは保険商材というより事故前後のサービスになるんですかね?
阿部
切り分けするものでなく、パッケージとしてご提案することが大切だと考えています。主業は保険販売であることに変わりはありませんが、保険商品の価値を高めるためにも補償前後の価値提供は重要な取組であると考えています。
貪欲に、チャレンジし失敗をしよう
清水
学生に求めるものについてお聞きしたいのですが、今の学生、新卒採用で御社の選考を受け入社してくる学生に求めるものがあれば教えていただきたいです。
阿部
弊社は減点主義ではなく加点主義です。失敗しても構わないので前向きに色々なことにチャレンジして欲しいと思います。これは成長スピードに関わってくる重要なポイントだと思います。
清水
失敗して学び、成長すると思うのでチャレンジする事は大事だと思います。お客様第一の理念や会社としての考え方は、採用スローガンにも反映されたりするのでしょうか?
阿部
採用面接ではトータルで見ていますのでお客様第一を実践出来るかどうかということだけ見ている訳ではありませんが、色々な質問をさせていただく中でお客様に寄り添っていける人物かどうかを確認するようにしています。
清水
お客様に寄り添っていけるかというのは具体的にそういったところで判断され、みていらっしゃるのですか?
阿部
例えば大切なのは人と人との距離感だと思います。
面接では緊張していて頭が真っ白なってしまう方もいますが、そのような中でもちょっとした気遣いのある言葉を選択していたり、面接の中でも面接官である私との距離感を縮めようとしているかどうかは伝わります。お持ちの雰囲気と併せて自然と見えてくるものです。
清水
なるほど。
阿部
もちろん時代に応じて欲しい人財は多少変わる部分もあるとは思います。しかし変わらずに求めたい部分として貪欲であって欲しいなと。人生を豊かに出来るかどうかは全て自分次第だと思います。主体的に業務を見つけ広げていくチャレンジ精神をお持ちの方と一緒に働きたいと考えています。また先ほど話をしたDX推進や補償前後の価値提供においてはIT技術の活用も増えてきています。デジタルを使うスキル有しながらハートフルな普遍的なところを追い求めていける方は更に魅力を感じますね。
清水
私も指示を受けるだけではなく、自分で考えて動けるような社会人になりたいなと思います。本日は貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。
阿部
こちらこそありがとうございました。
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