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安全×ICTで建設業界の最先端をゆく

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安全×ICTで建設業界の最先端をゆく

電気通信大学3年生

佐々木陸

大高建設株式会社

大橋 聡司

interview

学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。

今回は、大高建設株式会社の代表取締役社長 大橋 聡司様に、お話を伺いました。

電気通信大学3年生
佐々木陸

電気通信大学理工学部。IT業界を中心に就職活動中。趣味はスポーツ観戦と音楽を聴くこと。 特にサッカーと野球が好き。ラーメンも好きで週に2回は食べている。体を動かすことが好きで運動のサークルに3つ入っていた。

大高建設株式会社
大橋 聡司

大高建設株式会社 代表取締役社長。明治大学法学部卒。M&Aによるグループ業容拡大や海外進出など、創業精神の「Open The Way」を体現し続けている。国際ロータリー第2610地区2022-23年度(石川・富山)ガバナーノミニーや、宇奈月ビール株式会社代表取締役社長、一般社団法人でんき宇奈月代表理事、公益財団法人黒部市国際文化センター理事長、富山経済同友会副幹事代表などに従事。

目次

 

 

人の絆が、企業を強くした

佐々木
本日はよろしくお願いします。まずは簡単に、社長になられたきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか?


大橋
当社は私の祖父が創業した企業で、幼いころから私が跡継ぎをするものだと思っていたし、周りからもそう思われていました。道路工事や災害復旧を通して周りの人から感謝をされた経験があり、地域にとって役に立つ仕事をしていると感じたので継ぐことを決意しました。


佐々木
そうだったんですね。続いて、簡単に経歴もお伺いしてもよろしいでしょうか。


大橋
地元の高校から明治大学法学部に行きました。大学卒業後は当時の幹部が高齢化していたことから、地元に戻り家業を継ぎました。37歳で社長になり、今は地方自治体がもっている企業の経営や、公益財団にも関わりながら社会の中における務めを果たしております。


佐々木
企業を経営するうえで大切にされていることは何でしょうか?


大橋
企業は人なりという言葉を聞いたことはありますか?


佐々木
はい聞いたことはあります。


大橋
まさにそれです。企業の経営資源は「人、もの、金、情報」と言われますが、一番大切なのは人。建設業のような単体生産では、コミュニケーション能力やチームワークの重要性がより高まります。


佐々木
そもそも人を大事にする文化がある企業だったのでしょうか。


大橋
そうです。祖父と関わった人たちからスタートした企業で、絆がしっかりしていたからこそ創業時の厳しい時代を乗り越えられました。人の絆、人を大事にするという理念が会社を強くしてきたという自負があります。


社会に出てからも学び続けるためには

佐々木
近年、学生が変化してきたと思うことはありますか?


大橋
最近の学生はすごく真面目になってきているという印象で、小さくまとまりすぎていると感じています。もっと突き抜けるような何かがあってもよいと思います。

 

佐々木
社長様が学生生活の中で経験すべきだと考えることがありますでしょうか。


大橋
色々なことを経験すればよいと思います。例えば、私が海外の教育現場を視察した時、とあるアメリカの大学では1年間という長期間のインターンシップをしていること、北欧では大学生活の途中で就職し、再び大学で学ぶのが当たり前ということを知りました。


佐々木
そうなんですね。


大橋
大学生活の途中で就職して、また戻ってきて学び直すことで、社会に出たときにどう学びをしたらいいのかということが見えてきます。学生の間に、社会に出ることを踏まえた経験ができるといいと思っています。


佐々木
理系の学生で営業職のインターンに参加している人は少なく、海外の方のようにインターンで多くの経験をすることができたらいいなと思います。


企業の存在意義は、社会貢献

佐々木
新たな事業を多くされていると思うのですが特にその中でSDGsに取り組もうと思ったきっかけは何ですか?


大橋
私たちは富山県の温泉地で事業を行っていて、十数年前から小水力発電で電気自動車や電気バスを運行する取り組みをしています。大学の先生から、「大高建設の取り組みはまさにSDGsの先端を行っている。」と言われ、そこで初めてSDGsという言葉を知り、SDGsを経営の羅針盤として組み込みました。


佐々木
大橋社長は、SDGsをどのようなものと捉えていらっしゃいますか?


大橋
SDGsを羅針盤とすることで、社会的責任や環境負荷を意識した仕事ができると捉えています。企業の存在意義は、やはり社会に貢献するということだと思います。


佐々木
SDGsの17個の目標の中で特に大切にしているものは何でしょうか?


大橋
8.8の全ての労働者の権利を保護し、安全安心な労働環境を促進することと、11.5の災害による死者や被災者を大幅に削減することです。


佐々木
その二つを選ばれた理由はなんですか?


大橋
黒部川は急流河川で、流域あたりの崩壊面積も日本一です。地域の人々に安全を提供する役割の自分たちが安全と真逆の仕事をしていたら本末転倒なので、そういった意味でも安全を大事にしています。


コンパクトコスモス第一号認定を受けた背景

佐々木
大橋社長が仕事に取り組まれていく上で、やっぱり安全が大事だと思うようなエピソードがあったのでしょうか?

 

大橋
社長になってすぐの頃は、安全について今の当社レベルまでは徹底できていなかったこともあり、事故が多発した時期がありました。けが人の様子や企業への厳しい視線を感じ、経営者として安全を大切にしていかなければいけないということが身に染みて分かりました。


佐々木
時代や当時の世の中全体として安全への意識が高くなかったのでしょうか?


大橋
労働災害は仕方ないという感じはあったかもしれません。しかし、私どもの顧客は社会的に不祥事や労働災害は起こしてはいけないという価値観を持っています。そういった方々から仕事をいただく企業が、何度も労働災害を起こすというのは、企業の存続に関わります。


佐々木
このような安全の意識はHPを見て印象に残っています。その中で、コンパクトコスモス(建設事業者に適用した安全性管理システム)第一号の認定を受けられた要因はどこにあったのでしょうか?


大橋
第一号を選定するときに大事なのは、何年経っても第一号と言われ続ける、ということです。そういうわけで、選定先も慎重にお考えになっていました。


佐々木
はいそうですね。


大橋
当社はこの認証を取るために活動しているのでなく、黒部という危険で有名な場所で、皆が安全に暮らせるようにするために仕事をしています。その点が評価されました。


佐々木
昔から安全について一番に考えてきたことが大きいということですかね?


大橋
一番先に体裁を整えた資料を用意できたから第一号になれたということではなく、企業理念や取り組み、会社のトップの考え方等、そのようなことが認定第一号につながったのだと思います。


佐々木
ありがとうございます。2030年までの休業災害ゼロを目指されていると思いますが、それに向けて現状での手応えは何かございますでしょうか?


大橋
いくら安全を意識しても災害は起きます。だから、危険に対して正しく恐れる感覚を全ての工事関係者に持ってもらうことが大事です。そのような啓発をずっと行っているので、社員の安全に対しての意識はすごく高いと思います。


自分は変えられるが、他人は変えられない

佐々木
この目標に向けて現状で課題と感じていることは何ですか?


大橋
当社は、当社とグループ企業と当社の協力企業の労働災害をゼロにするという目標を掲げています。当社以外の社員の安全への価値観や行動に、課題感を感じています。


佐々木
グループ企業と協力企業の皆さんにも、安全に対して同じような意識をもってもらう難しさですね。


大橋
よく、自分は変えられるが人は変えられないと言われます。当社は変えられても、他企業を変えるとなるとハードルが上がります。取り組み続けて、目標達成をしたいと思っています。


佐々木
ありがとうございます。グループ企業様まで安全の意識を広げる事を課題と考えていられるということですね。


大橋
グループ企業の安全にも関与して指導をしています。ただやれと指示するのではなく、密にコミュニケーションをとりながら、グループ企業や協力企業の安全レベルを高める取り組みをしています。


これからのICT産業に期待すること

佐々木
HPを見て、デジタル化にも力を入れられていると感じたのですが取り入れる前からの変化やメリットはどう感じていますか?


大橋
ICTに関してはものすごく積極的に取り組んでいます。理由としては少子化が進んできて働く人の数が少なくなってきていることがあります。


佐々木
どのように活用しているのでしょうか?


大橋
すでに行っていることでいうと、現地の状況を遠隔地から管理して品質をチェックすることが挙げられます。将来的には、重機を遠隔操縦して現場の作業を行えるようにすることを目指しています。


佐々木
これからのICT産業に期待することは何でしょうか?


大橋
建設業では、ここ10年くらいは人の力に頼るところが多かったのですが、人手不足も顕著になりつつあります。その解決策としてICT産業には期待をしています。


佐々木
6Gが始まった時にそれに向けて今何か考えられているところとかはありますか。


大橋
6Gになると、今の価値観を超えるような利用の仕方ができるのではないかと思います。その時の通信環境の中で技術をとにかく色々使い倒して最大限活用していくことが、次につながっていくと感じています。 


佐々木
利用できるものは全て利用していく、ということですね。


大橋
そうですね。そうすれば新しい技術が開発されるときも使いこなせると思います。様々なものを使い倒すことで、新たな仕事のやり方に結びつく。いろんなことをやっていかないと、広がっていかないですね。


佐々木
ありがとうございます。新しい事業など、これからも挑戦し続けていく上で、大切なことをお伺いできました。今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。


大橋
こちらこそ、ありがとうございました。 


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