中央大学2年生
森 優衣
株式会社大分放送
猪俣 知三
学生と経営者がお互いに意見交換をしながら、相互理解を深めるHRsessionの対談コンテンツ。
今回は、株式会社大分放送の代表取締役社長 猪俣 知三様に、お話を伺いました。
2026年卒業見込み。大学では複数のサークルに参加すると同時に、留学支援団体と高校に行き学部を宣伝する学生団体に所属。実践的な業務を経験できることに魅力を感じ、インターンシップに参加。趣味は映画鑑賞。
昭和57年4月 株式会社大分放送入社 平成24年6月 取締役東京支社長 28年6月 常務取締役技術局長 30年6月 常務取締役 株式会社OBSメディアワーク代表取締役社長 令和 2年6月 専務取締役 3年11月 代表取締役社長 現在に至る
目次
多岐に渡るキャリア経験
森
本日はよろしくお願いいたします。
初めに、猪俣様の経歴をお伺いさせて頂いてもよろしいでしょうか?
猪俣
社内でいろいろな部署を経験しました。はじめは希望先であるテレビ制作部で、自社制作番組のほか、スポーツ中継、ザ・ベストテンというTBS系の人気歌番組などの制作に携わりました。以降は、2年前に現職に就くまで、放送以外の全ての部署を経験しました。
森
どのようにして入社をご決断されたのでしょうか。
猪俣
とにかく子供の頃からテレビが好きだったので、テレビのディレクターに憧れて企業を希望しました。
森
猪俣様の中で一番やりがいのあった部署はどこになりますでしょうか。
猪俣
今の自分にとって一番影響が大きかったのは東京支社の編成から営業のキャリアです。自分自身が成長した時期だからですね。様々な現場の最前線で働く優秀な方々と知り合い、人脈を作れたこと自分にとって財産になったと思います。
森
いろいろな経験後に局長など責任のある立場になられたと思うのですが、その際に、チームが円滑に動くように心がけられていたことはございますか。
猪俣
管理部門になると自分がというよりは自分の部下達にいかに能力を発揮してもらうかということになります。個性に合わせてコミュニケーションを取り成果に向かう。必要な部分を管理職としてサポートするということを心がけました。
人々の関心に敏感に、正しい情報を早く発信
森
メディアとして情報発信をすると言うことは発信内容に責任が伴うと思います。
情報発信をしていく上で大切にされているものはございますでしょうか。
猪俣
我々が放送するものには一定の責任が伴います。やはり間違った情報を流さない、正しい情報を早く出すと言うこと、そして人権問題など、報道内容に対する表現に気をつけて情報発信していくことを大切にしています。
森
報道や広告関連の業種は人の心に残るようなコンテンツを発信していく業界だと思うのですが、どのようにしたら人の心に残るコンテンツが作れますでしょうか。
猪俣
その人が欲しい情報かどうかっていうことになります。皆様がどういうものをテレビやラジオに期待しているのかということをキャッチして、提供していくということが基本です。あえていうのであれば、番組を見た人や聞いた人に例えば今後の人生で夢を与えるとか、感動するだとか、感情の部分などでその人に影響を与えられるような、情報、内容を提供できるかどうかということが肝だと思いますね。
森
企画部にもいらっしゃられたとお伺いしたのですが、企画部はいろいろなアイデアを出していくような部署だと思うのですが、どういう気持ちで日常を送られていたら、沢山のアイデアを出せるようになるのでしょうか。
猪俣
新聞、ネット、本などいろいろなところから情報収集する中で、皆様が興味を持っているものをキャッチする力が重要だと思います。難しい中身でも優しく訴えられるようなメディアを作らなければいけないのですが、企画はやはり皆様の興味が湧きそうなものを軸に検討していきます。
若者離れを防止、若者に寄り添う事業
森
テレビやラジオというメディアは若者離れが見られるメディアだと思うのですが、企業としてそれに対する対策はとられていらっしゃいますでしょうか。
猪俣
とても重要なテーマですね。なぜ若者離れが起きているのかを考えると、若い世代とメディアの接点が希薄になってきているということを念頭におかないといけない。地方の方だと誰々さんが出ていたとか、知人が出ていたねということが話題になる。ならば、メディア離れが起きている世代の方々に番組に登場してもらうということがまず重要かなと思っています。
森
具体的に今、実施されている企画などはございますか。
猪俣
ラジオでは高校生を対象にした番組を土曜日に1時間やっています。いろんな学校の部活の生徒をスタジオに呼んで、トーク番組形式で活動を紹介しています。そしてラジオで配信された内容はWEBでアーカイブ配信しております。
森
見たい時間に見たい番組を複数回見れるのはいいですよね。
猪俣
はい。また、テレビの方ではゴールデンタイムの水曜日の19時から1時間、地元大分出身のユーチューバーをある番組の準レギュラーとして出演してもらっています。彼女たちに番組でレポートしてもらうと同時にSNSで情報発信してもらってます。
私たちの仕事は放送にまつわるものだけではなく、イベントも行っております。例えば、大分県の高校生の団体では、各高校生が有志で横のつながりを作り学校を超えて学園祭を行うような活動をしていて、そのイベントのサポートも弊社が行うなど、様々な若い人たちのニーズを汲み取るためのイベント支援なども行なっております。
森
若者のニーズにも寄り添える柔軟な発想力を見習わせていただきたいです。
猪俣
今年、私たちは開局70周年を迎えるのですが、先ほど紹介した高校生の団体の皆さんと、弊社の若い社員が集まって新しいキャッチコピーを作るイベントを行いました。最終的に “Fun+Peak”楽しい時を最高潮でお伝えする、みんながワクワクするような番組を届けますよと言うようなメッセージを込めたキャッチコピーが完成しました。このように放送局を身近に感じてもらえるような取り組みも行なっております。
森
そのようなイベントが定期的に開催されると、若者のテレビ局への興味関心度が高まりそうですね。
動画配信メディアの出現と視聴率
森
コロナ禍では、自宅で過ごす人が増えたと思うのですが、それによって何か良い影響はありましたか。
猪俣
そうですね、はじめの3~4ヶ月は視聴率がぐんぐん上がりました。しかし間もなく視聴習慣の変化が起こりました。皆様は動画配信サイトを契約されるようになり、自宅のテレビで番組を見るのではなく動画配信を見るようになった。最近では22時以降は生放送を見ないでネットで見ている人が増えている。私達のビジネスはリアルで見たり、聞いてもらうことで広告企業様などからお金をいただいていると言うシステムなので、今は解決策を模索しているところです。
森
そうすると、例えばSpotifyなどと契約してラジオを流すと言うような新たな改革というのは検討されているのでしょうか。
猪俣
はい。この春からSpotify Japanが能動的に活動を始めると、海外でやっていましたけども国内に力を入れるということがありまして、TBSラジオさんが音頭をとる形で、ラジオのコンテンツとしてあげて、いろんな人に聞いてもらえるようなサービスをやっていこうというような動きが出てきたところです。
SDGs子どもたちを地域で守りながら育成していこう
森
御社でもテレビ番組やラジオなどからより別の事業に進むということは検討されているのでしょうか。
猪俣
そうですね。いろんな事業に取り組もうとしている最中です。例えば、大分県豊肥地域で地域スポーツ事業を展開していくといったことを企画しております。エリアを超えた子供たちを募集して、スポーツ塾のようなものを開く。こう言う活動をしながら、地域の子どもたちが夢を持って、生き生きと、地域密着で、生活できるようなものを提供していこうと言うことを考えておりますし、子どもたちを応援すると言う意味合いも含まれております。
森
面白いですね。
猪俣
そのほかにも、10年前から子どもたちの安心安全をテーマにしたスマイルキャンペーンというものをやっております。新入学児童に「まるんちゃん」というカモノハシのキャラクターの形状をした防犯ブザーをプレゼントしています。
森
沢山の経験ができて、それを糧にできる年齢である子供たちをサポートする姿勢が素敵ですね。他にもありそうですね。
猪俣
大分には別府という温泉街があります。そこで大分県出身のプロ野球選手であったり、ラグビーはキャノンイーグルズだったりとか、サッカーですとプロチームの大分トリニータ、そういった皆様がたと連携して、スポーツツーリズムで地域の観光を盛り上げようということに取り組んでいます。
森
魅力的なお取り組みですね。
猪俣
スポーツ選手にとって温泉は体をクールダウンさせる意味で効果的です。著名な選手が来たりするので、彼らが来ることによってファンの方々も集まりますよね。
森
もしその事業が本格化してきますと採用される人材も変わってくるのでしょうか。
猪俣
現在も、社員は割とスポーツ出身者が多いです、なので今後もスポーツ経験者が入ってくれるといいなと思いますね。
この先も業界で必要とされる人材
森
猪俣様が考えられる、従業員の皆様の強みというのはございますでしょうか。
猪俣
放送業の仕事には多岐にわたる業務がございます。報道、制作、営業、事業、総務、技術、アナウンサーなどですね。この中でスペシャリストとゼネラリストがいるわけなのですが、スペシャリストは資格を保持する技術系などの専門性を持っている強み。ゼネラリスト、私のようにいろんな職場を経験することで、視野が広がります。社内転職が可能なので、立場が変わることで見えること、わかること、また、深まっていくという強みがあると思います。
森
今後、どのようなタイプの人材に入社していただきたいでしょうか。
猪俣
一番大事なのは大変なことを受け止められるメンタルを含む体力を持っている人、打たれ強い人がいいなと思います。もう一つ欠かせないのはコミュにケーション力。我々はいろんな人に出会って、情報収集して、それを番組などで具現化したり、それを企画にしたり生み出したりと言うのがあるのでいろんな人と出会って話ができて、それを自分の中で整理できて、皆様方にアウトプットしていくことできる人。是非とも、男性に限らず女性も、来てもらいたいなと言うふうに思います。
ブレない軸を大切に
森
今の学生さんに一言メッセージをいただけませんでしょうか。
猪俣
若い人たちがインナーネットを多く使用している現状がありますね。インターネットは便利なのですが、ただ得られる情報っていうのは必ずしも正しい情報ではない。誤った情報を鵜呑みにすることで偏った解釈をしたり、SNSを通じて犯罪に巻き込まれるようなことだってあります。
森
インターネットには便利な側面もある反面、危険性もあるわけですね。
猪俣
はい。だからこそ正しい情報を得るために新聞やテレビ、ラジオなどからの情報収集もお願いしたい。間違った情報は流せないメディアですので、インターネットで情報を取ることと同時に、情報を整理して、自分の考え方がブレないようにしてもらいたいですね。
森
多面的に情報収集をすることが大事なんですね。
猪俣
そうですね。これから就職する皆さんの時代の日本社会は、終身雇用制度から変わろうとしています。今はキャリアアップのために転職する人も増えてきている。仕事をする上でやりたいと思えるような好きなことでないと継続できないと思うので、自分が何をやりたいのかって言うのをはっきりさせることが大事だと思います。まずは自分が何をしたいのかを思い描き、整理整頓してから社会人になってもらいたいですね。
森
変化に対応していきたいと思います。ありがとうございました。
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