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横浜を育む、横浜と共に歩む

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横浜を育む、横浜と共に歩む

長崎大学3年生

南 晃陽

株式会社横濱屋

山本 宗男

interview

学生と経営者がお互いに意見交換しながら、相互理解を深めるHR sessionの対談コンテンツ。

株式会社横濱屋 代表取締役社長 山本 宗男様に、お話を伺いました。

長崎大学3年生
南 晃陽

長崎大学経済学部。大学では地方創生についてフィールドワークを通して学んでいる。就職活動では人材業界を中心に活動している。犬とDisneyが好き。将来は犬とDisneyに囲まれた生活を送りたい。

株式会社横濱屋
山本 宗男

昭和43年8月3日生まれ。横浜生まれ横浜育ち。趣味は釣りとゴルフ。 1994年家業である株式会社横濱屋に入社し、2015年専務取締役に就任。2017年に6代目代表取締役社長に就任し、現在に至る。創業明治22年、130年以上の歴史がある地元横浜に根付いた地域密着企業。横浜市内に食品スーパー等の出店や業務用酒類卸の事業を行う。

目次







山本様のご入社までの経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか。


山本
入社して30年程になります。26歳の時に横浜に帰ってくるタイミングで横濱屋に入りました。大学で東京に出ていたのですが、そのあと中退してしまって、フリーターをやっているときに、「そろそろ横浜に戻ってきなさい」って母に言われて。



そうなんですね。


山本
東京にいるときにトラックの運転をしていたことがあったので、最初はお酒の業務用配達から始めて、その後はディスカウントストアで経験を積んだりしました。
当時のマインマートのフランチャイジーとして、東京の稲城市に行って、そこでお酒の安売りのノウハウを学びました。
そして、自社のお酒のディスカウント業態を立ち上げるために本社のある南区宮元町に戻ってきました。繁華街型の店舗の立ち上げやスーパーでの店長も経験したりして、約7年前に叔父の後を継いで社長に就任しました。



2017年の4月ですよね。


社長としての覚悟と挑戦


社長に就任したきっかけをお聞きしたいです。また、ご就任にあたり覚悟されたことなどありましたか。


山本
前社長である叔父が急逝して、覚悟もままならないまま、急遽社長に就任しました。
そのため一部不安要素はありましたが、店舗立ち上げや店長経験など広範な経験があったので、安心感はありました。



社長に就任されてから、周りの変化はありましたか?


山本
唯一変わったこととしては周りからの期待やプレッシャーが増したことかな。
前社長に相談していたこと、これまで父や叔父がやっていたことが全て自分に回ってくるようになって、経営判断や責任が集中するポジションになったなと。



プレッシャーを乗り越えてきたんですね。


山本
最初は突然のことでしたが、まずは受け止めないとね。仕事においては父に相談するよりも、細かいところはアドバイスを受けながらも自分のやり方で進めました。
会長である父の存在が頼りで、仕事面では父と私の間に信頼関係があったので、安心感はありました。親子喧嘩もしながらね。


自分の価値観を信じる


山本様は経営者として自分の判断を大切にしてきたんですね。


山本
自分の価値観を信じつつ、会社の進むべき方向を自ら判断していく、といったら大袈裟ですけど、将来を見据えて自ら覚悟を背負っていくんだとは思ってました。
コロナの影響でゼロベースから再構築する機会があったので、父と叔父の築いたものを伸ばすというよりも、周りの協力を得ながら立て直していったので、自信になりました。



山本様の「自分の価値観を信じる」姿勢に感銘を受けました。
自分自身、誰かになにかを勧めるときなど、いつも自信が無いので、尊敬します。


山本
20歳の自信満々な人はなかなかいないし難しいよ。経験を積むことで自信になるし、例えばある商品を、登録ミスにより表示価格より高い価格で販売してしまった場合、お客様のクレームを待つのではなく、顧客情報から連絡を取ったり、恥を忍んで売場にお詫びの掲示をしたりして、積極的に謝罪・返金をする方が信頼回復への近道だよね。
お客様に忠実であるために、正当な道を選び、成功した判断から自信を得られるし、お客様に感謝されることでやりがいを感じられるような経験を積むことは重要だね。それが最終的には会社にとってプラスになるしね。



すごく勉強になりました。


自分の買い物が地域のためになる仕組み


御社は地域づくりに注力しているとのことですが、店舗開店による商店街の盛り上げや相乗効果を生み出していたり、その他にも、レシート額の1%を学校に寄付するなど、地域社会への貢献活動も行っていますよね。


山本
よく調べてくれましたね。
アメリカ視察時に現地のスーパーマーケットで見て、面白いなって思ったアイデアからなんだよね。
毎年11月に実施してるんだけど、お客様に投函していただいたレシートの合計金額の1%を近隣の小中学校に寄付して、地域の公立学校の活動に役立てていただいています。学校としての予算が付きづらい、例えば通学の見守りベストやお茶代に使っていただいたり。
この貢献活動が地域の活性化にも繋がっていく仕組みになっていけばいいですね。



お客様が自分でレシートを箱に入れることが意思表明となっているんですね。


山本
現在は地元の学校と繋がっていない地域の方々にも、レシートを投函するという思いによって生徒さんとも繋がっていただけたら嬉しいよね。



その思いが地域活性化にも寄与しているということですね。


経営者はバトンランナー


単なる飲食業界というだけではなく、なぜ地域活性化に注力したのでしょうか。


山本
自分たちが存続するためには、地域で必要とされなければならないですよね。
大手やローカルチェーンのライバルが存在する中で、地域密着や小回り、学校への生鮮品配達など、他社、大手にはできないことを重視しています。



その背景や理由について詳しくお伺いしたいです。


山本
地域の発展も重要だけど、最終的には自分たちが地域で必要とされる存在として生き残り、次世代にバトンタッチしていく姿勢が大切だと考えています。
経営者はバトンランナーであり、次世代にバトンを渡すことが最低限の仕事。
新しい事業や挑戦も大切だけど、時勢や自身の才覚を考慮し横濱屋の経営者として次世代にバトンタッチするための守りの体制も重要だと考えています。



なるほど。


オリジナルの戦略「石橋は叩いて壊せ」

山本
背伸びしてギャンブルのような一か八かみたいなビジネスはしたくないなって個人的には思っていますね。
父が「石橋は叩いて壊せ。もし叩いて壊れなかったら渡ろう。」といったスタンスだったように、出店するとしても競合の多いニュータウンではなく、下町の商店街や駅近の小さな物件だったり。



そうだったんですね。


山本
そういう慎重な先代だったので。
大手にはできない、地域のお客様に密着することを重視していました。




横濱屋オリジナルといいますか、他とは違う戦略を練っているんですね。


横濱屋を支える2つの事業

山本
うちは業務用の販売が6割、店舗での販売が4割という二本立ての商売をしています。
父がスーパーなどの店舗を担当し、叔父が業務用のお酒を担当してきました。現金売と掛売の組み合わせによって、資金面での余裕が生まれる。片方が崩れても大丈夫な形態を築いています。
コロナ禍において業務用のお酒の売り上げが減少しても、スーパーの方が補完し、うまくバランスをとっているのが特徴だね。



この店舗事業と業務用酒販事業のふたつの事業で支えあっているのが御社の強みなんですね。


横浜の魅力を繋ぐクルーズ「よこはま運河チャレンジ」


地域づくりに焦点を合わせる上で大変だったことや今後の地域づくりの展開についてお聞きしたいです。


山本
横浜の酒屋として、横浜市内の飲食店への貢献を考え、首都圏や全国からの観光客を呼び込むために横浜をより魅力的な場所にしようと、「よこはま運河チャレンジ」というプロジェクトにも参加しています。



どういったプロジェクトでしょうか。


山本
横浜の歴史的な運河を利用し、船での飲食や買い物を提案し、地域の活性化を促進することを目指しています。これは会社としてではなく、私個人として参加していて、運河を通じて人と人が繋がり、町と町がつながって、飲食業も活性化し、横浜の豊かな飲食文化に貢献できればと考えています。



山本様がどれだけ横浜を愛しているかがわかりました。


山本
自分たちの会社がお世話になっている地域にどう還元していくかが大事で、それが使命だと思います。


「我が社の根幹は人づくりにあります」


御社のホームページを拝見しました。山本様のご挨拶にもある「人づくり」にどうして力を入れようと思ったか、きっかけや背景があれば教えていただきたいです。

 

山本
横濱屋の「人づくり」においての大切なポイントは、個性や性格の違いを尊重し、中小企業ならではの人間くさい雰囲気が育成に欠かせないと感じています。大手とは異なり、人間関係や特別な対応が強み。業務用配達の新人育成においては、イレギュラーな事態にも対応できるよう、半年以上先輩たちの助手として学んだ後に独り立ちする仕組みにしてしています。



伝統的な企業での育成やオリジナリティを感じました。


山本
ワークライフバランスについては業務用配達の忙しさから難しかったりするんだよね…。
それを打破する為にも、お客様にとって大切な商品を届けているという使命感を持ってもらい、業務効率を上げる仕組みを作りながら、労働環境を整えていきたいと思います。



山本様がご指摘したように、ワークライフバランスの確保がドライバーや他の要素で難しい課題となっているのではと感じました。


山本
ドライバーの勤務体系も8時~17時の定時から早出や残業を1時間以内に収めるのが理想です。それでも繁忙期があるので、まずは月平均の早出残業勤務を45時間以内に収めることを目指しています。夜間の受注スタッフは、効率的かつ正確な業務が求められ集中力も必要とされるので、残業が無くしっかりと休憩が取れる勤務体系を目指しています。



私の中でこれがあったらいいなと感じたのが、一日の勤務に焦点を当てて、ドライバーの実際の業務内容や働き方、仕事以外の活動についてリアルな声を通じて、本社のワークライフバランスの実態を具体的に把握できればいいなと思いました。


山本
休日や早朝に草野球をやっているスタッフや、休みを合わせて大勢でゴルフに行ってるスタッフもいるしね。そんな人たちもいるんだ、みたいな働き方を休暇も含めたモデルケースとして発信していかないといけないね。今の学生さんたちは本当のところ、どういう会社に入りたいの?



給料やお金に拘束されず、自由な働き方を求める人が増えている気がします。
何をするかよりも、どのように働けるか、休日の過ごし方、自分の融通が利くかに焦点を当てたり、その会社でどんな自分になれるかが重要な要素となっています。


山本
自分の人生設計に寄り添ってくれる会社が良いのかもね。



そうですね、魅力を感じます。
どの業界に行くかよりも、自分が思い描く働き方ができる会社かどうかにフォーカスしています。
今後の「人づくり」の展開についてお聞きしたいです。


山本
新人スタッフに共有してもらいたい価値観は評価項目で表現し、自己採点した後に評価者が確認修正しフィードバックしています。下期からは加点方式の「チャレンジ項目」を新設し、積極的な資格取得や新しいアイデアを出しそれに挑戦する姿勢を重視していきます。
プラスのアクションが出来るような職場の風土を作りたくてね。挑戦し続けるスタッフを育てたいってもがいてる最中なんだよね。


自分だけの「ストロングポイント」


今後御社に入社してくる学生に、 何を求めているのか、 何を心がけて欲しいのかなどがあればお伺いしたいです 。


山本
自分にしかない「ストロングポイント」を見つけることが重要だね。キーボード入力の速さやエクセルスキル、趣味やお酒の知識とか。何でもいいから自信になるものがあれば強いと思う。ワインに関する知識や資格を取得することで、お客様に最適なワインを提供する仕事の楽しさが生まれたりとか。
何か自分の「ストロングポイント」を見つけてとにかく磨いてもらいたい。
それ以外の力は入ってからでいい。あとは、横濱屋に入った時の「違和感」も大事にしてもらいたいね。その「違和感」が後の改善提案やチャレンジのタネになるはずだから。



自身のここは誰にも負けないものを知っておく、追求することが大事なんだなと、すごく刺さりました。


山本
いろんなことが平均点よりは「ストロングポイント」みたいなものを1つでも持っておくことで、自分はここに人生をかけるんだ、みたいなものが見つかっていくと思いますね。




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